駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

[今週のトレード] 2021/9/3

今週の資産推移は+4.4%(+949万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが+4.5%、マザーズ指数が+2.3%と指数に対してまちまちでした。

8月の資産推移は+20.3%(+3848万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが+3.1%、マザーズ指数が+4.6%と指数に対してアウトパフォームでした。

週明けから日本株はやたら強く、金曜日の正午ごろに菅総理が総裁選に不出馬の意向と伝わって後場から急騰する場面もありました。ただ週の後半からはマザーズ指数が失速気味で、外国人が大型株を買って指数を引っ張り上げていくパターンに入りつつあるように思われます。指数でヘッジするスタイルはこのパターンでさっぱり勝てなくなるんですよね。9月からプログラマの仕事が忙しくなって、ザラ場を見たり、臨機応変にポジションを動かすのはあまりできなくなっており、次の決算シーズンまでは今のポートフォリオをおおむね維持する形になると思います。

www3.nhk.or.jp

8月はアップダウンの激しい月でしたが、終わってみれば月間で過去最大の利益となりました。ポートフォリオで10%以上上がった銘柄はシダックス+39.8%、セルム +25.0%、BuySell+21.2%、CARTA+17.1%、スペースマーケット+13.2%(売却済み)、全研本社+10.1%、キャリアDC+10.1%でした。10%以上下がった銘柄はスプリックス-14.9%、岡本工作機械製作所-13.4%、アートスパーク-11.5%でした。

内訳(含み損益込み、概算)を見ると、上がった7銘柄で+2600万、下がった3銘柄で-600万、決算絡みで取ったポジション(日本郵船、日本製鉄、JFEを含む)で+1300万、日経平均先物のヘッジ売りで-400万、その他で+900万。8月下旬にこれまで売られてきたグロース株が強くリバウンドする局面があり、自分のポートフォリオも恩恵を受けられました。8/23~8/31の資産推移は+3394万となり、この7営業日で今月の利益の大半を得られた形です。観測範囲でも8月下旬は際だったパフォーマンスをあげた個人投資家が多かったようです。

今週の取引

7377 DNホールディングス (+4,461,068)

手じまい。期待していたものがすべて出てきて、保有し続ける理由もなくなったので売りました。流動性に乏しく一日の出来高が数百株という日も多いため、2.3万株も売り切るには数ヶ月かかるつもりでいましたが、8/31に1189円で指し値を出すと無限にテイクしてくれるアルゴがいて、まあここで良いかなと思って全株を渡して手じまいとなりました。

マーケットメイクのアルゴだと数分で2万株も買わないと思うので、売った相手は光通信だったんじゃないかなと思っています。8/27提出の資料を見ると、DNホールディングスに変わってからも買っているようです。次に出てくる大量保有報告書で8/31に買ったかどうかチェックしたい。

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大日本コンサルタントについて書いた記事の答え合わせをすると、いろいろ間違ってたけどポジションを取る狙いとしては合ってた、というくらいかな。以下、細々とした記述になりますが書いておきます。

daken.hatenablog.jp

記事に「DNホールディングスの発行済株式数は最終的には8,010,000株となる」と書きましたが、9/3時点の発行済み株式数は8,420,000株となっています。この差分41万株の原因ははっきり分からなかったのですが、7/16の開示資料に株式移転後で10,480,000株と記載されており、

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2/12の開示資料では10,070,000 株が予定されており、この時点で差分が出ています。株式移転前にダイヤコンサルタントの株式を消却する際に期待した株数が消却されなかったように思われ、開示資料にも「実務上消却可能な範囲で消却」とあるため何かの理由があったんでしょうか。それ以上のことは自分ではわからず。

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経営統合で発生するのれんについては、DNホールディングスの財務諸表がまだ未開示のため正確な金額はわかりませんが、7/16の開示資料に以下の図があり、ざっくり4~6億ののれんが発生したようです。わずか2~3年で償却するのは、将来的には持ち株会社にぶら下げるんじゃなくて完全に経営統合する意思があるようで、その前に償却を済ませておきたいという意図かと思います。統合関連コストとあわせて3億の負担は少なからず営業利益を下押しする要因になっています。

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業績については、今期のガイダンスでEPS125円、PER9.5と、記事で期待していた水準を下回っています。7/14開示の中期経営計画の数値目標もいまいちです。のれん償却と統合関連コストの負担を加味しても控えめに見えますし、大日本コンサルタントは元々ガイダンスを非常に保守的に出す会社で、そのキャラクタがDNホールディングスになっても変わらなかったなと思います。今期もガイダンスをかなり上振れて着地するのでは。

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配当については、記事で「現在30円の配当が増配されることを期待したい」と書きましたが、少し色がついて今期の配当予想は40円となっています。

最後にDNホールディングスへの所見としては、建設コンサルタントのセグメントでも割安に見えるし(B/Sを見てみないと判断できない部分はありますが)、事業環境も受注状況も良好で3年後にはのれんの償却負担もなくなるし、光通信が継続的に買い増ししているし、腰を据えて保有できるなら十分良い選択肢と思います。ただし目先で買われる理由があるわけでもなくて、ここに資金を置いておくよりは他を買おうと思いました。

ポートフォリオ

サマリー
  • 評価額合計 227,412,022円
  • 前日比 +1,626,179円 (+0.72%)
  • 月初比 -1,103,584円 (-0.48%)
  • 年初比 +101,394,103円 (+80.46%)
現物

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信用

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先物

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[投資本] ウォール街のランダム・ウォーカー (バートン・マルキール)

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インデックス投資でもっとも知られた本。投資を始めたばかりの頃、15年くらい前に読んだものの、今の知識で読めばまた新たな発見があるかと思って、最新版(第12版)を買って読んでみました。

原著は2016年に発行されたようで、最近の金融業界、マーケットの動向が反映されています。スマートベータやリスクパリティといった、インデックスファンドに近い性質を持つ金融商品を幅広く取り上げて比較しています。また、データも執筆時点ものが使われています。

年齢ごとの資産配分の例や、インデックスETFの組み入れ方の例まで載っており、どのように資産を運用したらよいか具体的に説明されているのが優れた点と思います。スマートベータにしても、数あるスマートベータファンドがそれぞれどれくらいの超過リターンをあげたか調査し、それを踏まえておすすめのファンドを挙げています。

インデックス投資を奨める本ではありますが、裁量トレードの個人投資家が読んでも十分に得るものがある本です。市場平均に継続的に勝つことがいかに難しいかを懇切丁寧に説明しており、『敗者のゲーム』のような類書と比べても視野が広く、説得力があります。自分の認識としては、マーケットは本書の立場よりもう少し非効率でつけいる余地があるし(とくに日本の小型株については)、根拠のある勝ち方をして利益をあげている参加者がいるように思われます。とはいえ大多数が市場平均に勝てないゲームをわざわざ好き好んでやっているということを、よく自覚した上で取り組むべきであると思います。

著者はアメリカの経済学者であり、本書では学者たちの研究成果が多数引用されており、なかなか面白いものがあります。

  • ヘッジファンドは過去のバブルで行き過ぎた株価形成を修正する働きをしておらず、むしろバブルに乗る動きをしていた。1998年から2000年にかけてヘッジファンド全体ではインターネット株を買い増ししていた。2005年から2006年にかけて原油価格が2倍以上に急騰した局面でも同様であった。(p.311)

  • 頻繁な売買は運用パフォーマンスを大きく引き下げる。1991年から1996年における66,000世帯の株式投資のパフォーマンスを調査した結果、この期間の市場全体の年平均リターン17.9%に対して、調査の対象となった世帯の年平均リターンは16.4%であった。しかしもっとも頻繁に売買したグループを見ると、年平均リターンは11.4%にとどまった。(p.318)

  • IPO銘柄の公開後5年間の平均リターンを調べたところ、市場平均よりも年平均4%低かった。公開後6ヶ月以降市場平均を下回り始めるが、これはロックアップ期間が明けてインサイダーが持ち株を処分し始めるからである。(p.320)

  • デイトレーダーの平均生存期間は約6ヶ月であった(p.108)

また、ベータについてページを割いており、過去のマーケットではベータがリターンと相関しなかったことがファーマらの研究成果を引用して説明されています。意外に感じましたが自分の知識では内容をよく理解できず、もう少し調べてみたいと思いました。

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[今週のトレード] 2021/8/27

今週の資産推移は+12.0%(+2335万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが+2.6%、マザーズ指数が+5.6%と指数に対してアウトパフォームでした。

先週末の流れから一転して月曜日から上げ相場となり、特にここまで売られていたグロース株が買い直されました。転換のきっかけと思えるようなニュースがあったわけではなく、強いて言えば東南アジアのコロナ状況が改善しているくらいでしょうか。金曜夜のジャクソンホールでパウエル議長が年内のテーパリング開始をアナウンスしましたが、バーナンキショックの再来どころか米国株は上げで反応しており、目先のリスク要因が一つなくなった格好になりました。

つくづくマーケット全体の動きはわからない。ともかく地合が良くなったことでデコルテとアクシージアを買い直しています。先週手じまった日本郵船や日本製鉄は自分が売った位置より高い株価に戻っており、これらも週明けに買い直せればよかったですが手が動かなくて買い直せず。

www.nikkei.com

今週は指数を8%くらいアウトパフォームしています。ポートフォリオの週間騰落率の上位は全研本社+21.6%、CARTA+17.7%、JFE+14.3%、シダックス+11.5%でした。今週はマイナスのポジションがほとんどなくて、保有している小型株、新興株がこぞって上がってくれました。

日経平均が相対的に弱かったため、個別株のポジションに掛かっているレバレッジの分だけプラスになった形で、約4億ある個別株の買いが平均+6.5%で+2600万、日経平均先物の売りが-300万で、差し引いて+2300万くらい。股割きの逆パターンで、日経平均先物でヘッジしているのが良い方向に働きました。毎週こうだとありがたいのですが。

今週の取引

9885 シャルレ (-)

新規に買いました。8/10発表の1Q決算を見て、シャワーヘッドの事業が伸びているのを面白いと思って、翌日から買い始めて欲しい株数になりました。

ここは資産バリュー株で、現金同等物から負債を差し引いて100億くらいあるのに、最近の株価は時価総額60億くらいで推移しています。1Q決算後に少し上がりましたがそれでも時価総額68億です。シャワーヘッドが見直されるきっかけにならないかと思ったんですね。

シャルレには「ウルトラファインバブル技術製品等製造販売事業」という恐ろしく長い名前のセグメントがあります。このセグメントは子会社の田中金属製作所およびWATER CONNECTから構成され、売上の大部分をシャワーヘッド「ボリーナ」が占めるものとみられます。1Qのセグメント業績を単純に4倍すると売上22.4億、営業利益10.6億となります。シャルレの業績はコロナ前のFY19/03でも営業利益3.6億であり、ここ数年の利益水準から大きく上振れして着地する期待を持てます。

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ボリーナは最近ブームになっている高価格帯のシャワーヘッドです。上場企業では他にMTGが「ReFa」ブランドでシャワーヘッドを出しています。ボリーナは1~2万円の価格帯で、美容効果を訴求して女性向けのマーケティングで売っています。

田中金属製作所はボリーナの累計販売本数をプレスリリースなどでときどき公開しています。あまり標本数を取れなかったのですが、グラフにプロットするとここ1年くらいで売れ行きが伸びていることがわかります。

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直近の累計販売本数を見ると、2020/5/26に40万本(プレスリリース)、2021/4/23に65万本(岐阜新聞)と、1ヶ月あたり約2.3万本売れているようです。ペースを維持していれば足下で75万本ほどになっているはずです。こまめに累計販売本数を公開してくれると安心できるし、5万本売るたびにプレスリリース出すとかしてくれたらよいのですが。

シャルレの本業は下着の訪問販売です(レディースインナー等販売事業セグメント)。毎年のように売上が低下している下り坂の事業で、前期はコロナの影響を受けて赤字となっていますが、今期は1Qから黒字を計上しており、売上も回復傾向にあるように見えます。前期にわずかな人数ですが従業員のリストラをやったこと、営業拠点の整理をしたことも寄与しているかもしれません。このセグメントは状況がよくわかっていませんが、コロナ前の業績に戻ってくれるといいな、くらいに思っています。

なお、シャルレは田中金属製作所およびWATER CONNECTを2020/7に買収しました。シャワーヘッドのブームが始まった時期で、とても良いタイミングで買ったんですね。前期3QからP/Lに連結されていますが、訪問販売のコロナ悪影響と相殺されて会社全体の業績は代わり映えしない数字になっていました。自分は今期1Qの決算を見てシャワーヘッドなんてやってたんだと気づきました。

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今後はボリーナの売れ行きが落ちないうちはポジションを保有するつもりです。季節性で2Q、3Qが強く、今期のガイダンスが営業利益6億と保守的に見えるので、3Qの決算発表までに上方修正が出てくることも期待しています。ボリーナの状況を知るため、WebサイトやSNSアカウントをまめにチェックするのと、Amazonやカカクコムのランキングを定期的に取って推移を見るつもりです。

最大のリスク要因はやはりボリーナの売上が落ちることです。美顔器やナノケアドライヤーといった美容家電のような売り方をしていて、このジャンルの製品は流行に左右されるため売れ行きにブレが大きいという認識です。MTGやヤーマンの業績は非常にボラタイルですが、ウルトラファインバブル技術製品等製造販売事業セグメントも似たようなものではないかと思っています。

美容効果の訴求の仕方を見ても(キャプチャは公式サイト)、ググるとたくさん出てくるアフィリエイト記事の書き方を見ても、かなり引っかかるところがあり、改正薬機法で表現規制が厳しくなる状況下で影響を受ける可能性があるかもしれません。

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競合製品にシェアを取られる可能性もあります。ボリーナはこの手のシャワーヘッドでは先行組で、後発の競合からシェアを守る立場にあります。雑誌の比較記事をみるとボリーナの評価は中くらいというところで、ミラブルという競合製品がとくに高い評価を受けているようです(Amazonのレビューだと同じくらいだし、媒体にもよると思います)。今後ボリーナがシェアを維持できるかは気にかかります。

自分でも試してみようと思ってキャプチャのボリーナを買ってみましたが、美容効果があるかはさておいて、シャワーの水滴が細かくなって、肌への当たりがやさしくなるのはハッキリわかります。部屋に備え付けてある汎用品のシャワーヘッドと比べたら体感できるだけの差があるし、まあ1万円くらいならありなんじゃないかな、けっしておかしな製品ではないとは思いました。

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ポートフォリオ

サマリー
  • 評価額合計 217,924,544円
  • 前日比 -1,162,865円 (-0.53%)
  • 月初比 +27,887,931円 (+14.68%)
  • 年初比 +91,906,625円 (+72.93%)
現物

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信用

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先物

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[今週のトレード] 2021/8/20

今週の資産推移は-5.0%(-1016万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが-3.9%、マザーズ指数が-3.2%と指数に対してアンダーパフォームでした。

週の頭から不穏な下げ相場だったところ、木曜の午後にトヨタの減産ニュースがあってシクリカルセクタが強めに売られる展開となりました。海運と鉄鋼が1週間で2桁パーセント下がり、最近さんざん売られていた高PERのグロース株が買われたりしててリバーサルっぽい動きもありました。

kabumatome.doorblog.jp

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トヨタの減産台数は35万台程度と伝えられており、この数字だけなら大きな影響にはならないように思われますが、世界的にコロナの状況が悪い中で先行きが見えないのが良くないのでしょう。今週は日本製鉄、日本郵船、TOWA、デコルテを売って、かわりにスクロールと壽屋を買いました。買いポジションのサイズは4.13億から3.52億に減っています。

普段は触らない大型のシクリカル株を買ってさっそく手じまっていますが、自分よりも詳しい人がたくさんいて、多様な参加者によって複雑に価格形成がなされる世界で、ポジションを持ちきれない感じがあります。Twitter個人投資家たちは配当利回りと連呼しているけどそれは怪しいとおもっていて(今だけ高配当が出てもたとえば配当割引モデルで評価したら大して変わらないでしょ、と思うので)どうも乗り切れないところもあります。日本製鉄が-38万、日本郵船が+208万とプラスで終われてはいます。

テーパリング選挙コロナ中国とリスク要因がてんこもりのわりに明るい話題に乏しく、なるべくお金を減らさないようにしようというメンタルにいよいよなってきました。今年に入っていちばん厳しい局面です。

ポートフォリオ

サマリー
  • 評価額合計 194,576,538円
  • 前日比 -5,885,184円 (-2.94%)
  • 月初比 +4,539,925円 (+2.39%)
  • 年初比 +68,558,619円 (+54.40%)
現物

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信用

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先物

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[今週のトレード] 2021/8/13

今週の資産推移は+5.2%(+1020万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが+1.4%、マザーズ指数が+0.4%と指数に対してアウトパフォームでした。

決算シーズンが終わりました。今回の決算シーズンは最後まで難易度が高かった。終盤になって新興グロース株の決算が増えましたが、発表翌日の反応はおしなべて厳しく、ちょっと進捗の悪い決算が出ると簡単に10%くらい下がります。マザーズの売買代金の推移を見ると、コロナショック後とくらべて売買が細って最近では1000億を割る日も多く、自分の感覚でも新興市場は閑散としています。決算をみて投げてくる人は地合にかかわらず一定数いるけど、その売りを受け止める買い手が少ないように感じます。

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自分の観測範囲にいる個人投資家たちは鉄鋼や海運をせっせと買い込んでいます。そのためにそれまで持っていたグロース株を売っているだろうから、その資金の動きも新興市場の重荷になっていそう。自分ですら日本製鉄、JFE日本郵船ポートフォリオに入れたくらいです。ただ鉄鋼や海運が個人に選好されるのは一時的な現象と思われ(そもそも現在の高配当が続かないでしょうし)、そう遠くないうちに逆戻りするだろうと思っています。

今週の取引

6246 テクノスマート (-)

新規に買いました。前期4Qで受注が大きく伸びたのを覚えていて、8/12(木)の決算発表前にいくらか買っておいて、決算の内容が良かったため翌日買い足して欲しいだけの株数にしました。

買った最大の理由は受注残の増加です。受注残の推移を見ると、FY19/3にピークを付けてから落ち込んでいましたが、前期4Qと今期1Qで受注高が伸びて、あっという間に前回のピークを越える水準になりました。

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テクノスマートは塗工機械(物質の表面にコーティングを施す機械)を主力製品としています。主として光学フィルムや電子部品の製造に使われますが、最近ではリチウムイオン電池向けの需要が増大しています。リチウムイオン電池の電極塗工システムを提供できる会社は数少なく、テクノスマートは世界シェアの約20%を有しています(他にヒラノテクシード、東レエンジニアリングなど)。

1Qの決算短信には「今年に入り大型案件を含む多数の受注を獲得し、受注環境が激変しています」とあります。中国からの受注が急増しているようです。

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ここ数ヶ月で、EV向けリチウムイオン電池の大型設備投資のニュースがいくつも出ています。今後しばらくは良好な受注環境が続くと期待できそうです。

www.nikkei.com

www.nikkei.com

jp.techcrunch.com

最近では光通信とエフィッシモが継続的に保有割合を増やしています。とくに光通信は主に市場内で取得しており、最新(7/16)の大量保有報告書では15.79%もの保有割合となっています。フィデリティも9.60%を保有しています。現金同等物から負債を引いて100億くらい残るキャッシュリッチな企業であり、光通信とフィデリティはバリュー投資で保有しているように思われます。エフィッシモの意図は不明です。

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長期チャートを見ると足下の株価はすでに高い位置にいますが、今後期待できる業績や財務からまだ割安であると考えます。受注状況を見ながらですが、受注が落ちなければしばらく保有するつもり。

リスク要因としては以下のようなものを気にしています。

  • 部材の高騰。リチウムイオン電池向けの大型案件はリードタイムが長いと見られ、受注から製造までの間に部材(とくに鋼材)の価格が想定より上昇するとその分だけ粗利が削られると思われます。粗利率の高い会社ではありませんし(過去数年の実績値ではばらつきが大きいものの15%前後)、ふたを開けてみたら利益があまり出ないということがあるかもしれません
  • コロナの影響で製品の納入に支障がでること
  • 信用買い残が発行済み株式数の8%弱と大きいこと

ポートフォリオ

サマリー
  • 評価額合計 204,733,614円
  • 前日比 +1,142,523円 (+0.56%)
  • 月初比 +14,697,001円 (+7.73%)
  • 年初比 +78,715,695円 (+62.46%)
現物

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信用

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先物

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[今週のトレード] 2021/8/6

今週の資産推移は+2.4%(+450万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが+1.5%、マザーズ指数が-1.9%と指数に対してアウトパフォームでした。

日本郵船が1Q決算発表と同時に年間700円の配当を発表して海運セクタが盛り上がっています。今年に入ってから注目されていたセクタではありましたが、Twitterの株クラがここまで海運一色の雰囲気になったことは過去に見たことがありません。このタイミングで増配することはその前の上方修正で示唆されており、金額も先週の商船三井の決算から推測の効くものだったため、決算発表前に日本郵船を買っていた個人も多かったようです。

news.yahoo.co.jp

決算の反応は引き続き悪いのですが、先週からはいくらかマシになりました。やはり小型株の反応が相対的に悪く見えるので、小型株を減らすかわりに、日本製鉄、日本郵船三井化学など自分が普段触らないような大型株を決算ギャンブルの対象に入れています。小型株の決算は見栄えで売り買いされる傾向がありますが、今回の決算シーズンは多少の好決算では埋没してしまって、いつもなら買われそうに思える内容でも翌日は小動きで終わるというケースが多く見られます。上方修正や増配を発表した銘柄がやたらと選好されるのもわかりやすいからなのでしょう。

今週はプラス収支ですが、決算絡みでポジションを取った日本郵船とデコルテで+600万ほど寄与しており、この2つを差し引いたらマイナスです。ポートフォリオの小型新興株が相変わらずダメで、自然落下みたいに延々と下げていくポジションが多くて、小手先のトレードで帳尻を合わせている実感が強いです。マザーズ指数は5週連続のマイナスで、6/29の高値から14%のドローダウンとなりました。レバレッジをかけている人はそろそろキツくなっていそうですが、信用買い残はほとんど捌けておらず高止まりしています。

最近のマザーズ指数はコロナお気持ち指数と化していて、感染者数がピークを更新しているうちは反転しない印象があり、目先は期待できないと思っています。厳しい相場が続きそうです。

ポートフォリオ

サマリー
  • 評価額合計 194,535,190円
  • 前日比 +1,515,712円 (+0.79%)
  • 月初比 +4,498,577円 (+2.37%)
  • 年初比 +68,517,271円 (+54.37%)
現物

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信用

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先物

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[今週のトレード] 2021/7/28

今週の資産推移は-3.5%(-705万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが-0.2%、マザーズ指数が-4.6%と指数に対してまちまちでした。

7月の資産推移は-3.1%(-606万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが-2.2%、マザーズ指数が-10.1%と指数に対してまちまちでした。

中国当局が学習塾の非営利化を通知して、中国ADRの教育株が-90%とか下げてグロース株全体も軟調に。アメリカもナスダックの下げが相対的に大きかったです。恣意的な通達で業界一つをまるごと潰してしまう強権に驚きます。今のところこの件を端緒に暴落開始とはなっていませんが、6年前のチャイナショックで退場した自分としては神経質になってしまいます。

jp.reuters.com

www.shenmacro.com

決算への反応は今週も非常に悪く、10段階評価とすると下から2番目くらいでしょうか。シクリカルセクタが好決算を出しても売られる傾向は続いており、個人のセンチメントが弱っているためか小型株が相対的に弱いです。今週はマザーズ出来高が少なく、個人しか触らない銘柄だと決算翌日に買いにくる人がいない印象を受けました。

決算シーズンに入る前は自動車部品や半導体をバスケットで買おうとしていましたが、今週の中盤で明らかにダメそうだとなって、決算ギャンブルのポジションは数を絞って、サイズも小さめに取るようにしています。今週だけで見ると決算ギャンブルの損益はトータルでマイナスとなっています。サイバーエージェントの3Q決算を大きめにまたいだのが特にマズかった。

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今月のパフォーマンスは-3.1%となりました。2年前くらいだとこういう地合のときはマザーズ指数に連動していたものですが、いまのポートフォリオTOPIXに従うような推移になっててわりと助かってる感じがあります。ポートフォリオで2桁パーセント上げた株はきずなHD+24.3%、アートスパーク+16.1%。下げた株はBuySell-16.0%、スペースマーケット-14.7%、ユーザベース-14.0%、アステナ-12.6%、スプリックス-13.6%、DI-10.3%でした。

今月の資産推移の内訳(含み損益込みの概算)としては、上げた株2つで+500万、下げた株6つで-900万、決算ギャンブルで+300万、IPOセカンダリ(ほぼラキール)で+100万、その他で-700万。さすがにマザーズ指数が10%下がった月だけあって、一ヶ月ずっとだらだら下がって-10%前後行ってるポジションが多く、短期のトレードで損失補填するのも追いつかなかったです。迅速にポジションサイズを落とすスタイルが合っている月でした。

それにしても難しい局面です。1Q決算からはやくも上方修正ラッシュで、半導体や電子部品の決算を見ると受注がドカンと伸びていて明るい未来を感じさせるものばかりですが、それでいて株価の反応はさっぱりです。これが一時的な状況なのか下げ相場の始まりなのか自分にはわかりませんが、まだ+50%ある年初来が+40%、+30%と削られていったときのイメージは持っておこうと思います。

今週の取引

4936 アクシージア (-4,222,874)

手じまい。今週に優待権利付き最終日があり、もらえる化粧品の定価ベースで10%を超える配当利回りがあるので翌日に売られるだろうと思い、その前にポジションを落としました。その後ポジションを建て直すつもりでしたが、地合が悪いこと、記事の最初に書いた中国の件があって中国向けで売上の大部分を上げる会社はいまは避けておこうかなと考えて手じまいとしました。

優待前後の値動きについては自分の想定と逆で、優待権利付き最終日の翌日はGUして始まって+4.9%となり、むしろその前に下げるという結果となりました。後付けで推測すると、7/13付けで貸借銘柄になって優待クロスできるようになったことで翌日に出てくる売りが少なくなり、それに対して元々の保有者はぼくと同じように考えたんでしょうかね。この値動きは一般的なパターンなのかな。優待をあまり取らないし取るときもクロスして現引きで終わってしまうので、優待前後の値動きに肌感覚がない。チャートは今週の時間足です。

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ポートフォリオ

サマリー
  • 評価額合計 190,036,613円
  • 前日比 -3,615,051円 (-1.87%)
  • 月初比 -6,063,697円 (-3.09%)
  • 年初比 +64,018,694円 (+50.80%)
現物

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信用

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先物

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