言わずと知れたcisさんの本。株の本というよりは自叙伝という感じで、主に自身の半生や価値観について書かれています。トレード手法については言及されているものの抽象的な内容ですし、この本を読んだところで真似できるようなものでもありません。株で勝つために読むと肩すかしでしょうけど、相場をやる人はおもしろく読める本だと思います。cisさんの考え方の移り変わりは興味深いですし、ジェイコム事件など有名な出来事についても書かれています。
最後まで読んで感じたのは、短期トレードで勝てるのはこういう人なんだ、自分はこういうふうにはなれない、ということ。値動きから豊かな情報を取り出して、ごく短い時間で判断して注文を出す能力というのは個人の資質によるところが大きく、同じツールを使って同じチャートや板を見たとしても、ぼくとcisさんでは見えるものがまったく違うだろうし、それは言語化しづらいものなのでしょう。ぼくが今から将棋を始めてもプロ棋士にはなれない。それと似たようなところがあるのだと思います。
あとは、よく勉強していて豊富な知識があるということで、相場の動きに対してアイディアが出てくるのは知識によるところも大きいんだなということ。勉強するのは凡人でもできるので、こちらは自分も頑張ろうという気持ちになりました。
cisさんの相場歴
- 元手300万で株を始めた
- ファンダメンタルズ重視で割安な株を買っていたら、最初の2年半で104万まで減らした。結局1000万くらい負けた
- 株価が割安というのは主観にすぎず、公開された情報の分析では優位性がないと気づいた
- 2chのオフ会での交流がスタイルを変えるきっかけになった
- 値動きを見て勉強し、小型株の短期トレードに切り替えて勝てるようになった
- 総資産が6000万のときにサラリーマンを辞めて専業になった
- そこからはだいたい勝ち続けて現在に至る
トレードについて
- 基本は順張り。「上がり続けるものは上がり、下がり続けるものは下がる」
- 株が上がったり下がったりするのには理由がある。その理由はわからなくても株価の動きは明確な事実。マーケットの潮目に沿って行動するのがいちばん勝つ可能性が高い。
- 株価の動きに勝手な予想をしない。どこまで上がるか(下がるか)は誰にも分からない。
- 株価がある程度下がったら売る。2度目の押し目で売ることが多い
- 押し目買いをやらない
- ナンピンは最悪。失敗しているのにロットを増やすのは矛盾している
- 損切りのラインは決めず、一時間後に今より下がっていると思ったら売る
- リスクヘッジはしない。リターンを求めてリスクを取っているのに、そのリスクを分散させるためにコストを使うのではリターンを薄めるだけ。
- 長期投資はやらない