駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

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「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

[投資本] 生涯投資家 (村上 世彰)

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村上ファンド村上氏の本。村上ファンドの活動について書かれた箇所が半分、コーポレートガバナンスについて持論を述べた箇所がもう半分という構成。

どの会社の誰に会ってどういう提案をしたというのが時系列で細かく書かれていて、アクティビストの活動を窺い知れるのがおもしろい点でした。ニッポン放送の件では、株を買い始める前の段階で、ニッポン放送、フジテレビ、産経新聞のキーマンの間をくるくると行脚して根気強く提案をしていたりします。人知れず市場で株を買い集め、突然現れて議決権を振りかざして乗り込んでいくみたいなイメージがあったのですが、少なくとも村上ファンドはそれとはだいぶ違ったようです。

コーポレートガバナンスについての箇所は、少なくとも株主視点では真っ当なことが書かれているように思うし、実際に近年の日本のマーケットはここに書かれているような方向に変わってきました。ただ、企業がため込んだ自己資本を株主に返す→資金の循環がよくなる→日本経済がよくなる、という主張はちょっと短絡的すぎるように感じられます。

投資方法

  • 期待値を重視して投資判断をする。多くのファンドはゼロになる可能性がある場合や負ける確率が5割を超える場合に投資をしないが、村上氏は期待値が1.0を大きく超えさえすれば投資をする。
  • IRR(内部収益率)も重視する。IRRが15%であることが基準。
  • 期待値とIRRに加えて相手の商習慣や国ごとに政治的リスクも踏まえて最終的な判断をする。
  • 投資家として大事なことは、失敗したと気が付いたときにいかに素早く思い切った損切りが出来るか。下がり始めたら売る決断をいかに速やかに出来るか。