駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

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「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

[投資本] バフェットからの手紙

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バークシャー・ハサウェイが株主に向けて毎年発行している年次報告書の内容をテーマごとに編集した本。

株式投資の参考にと思って読みましたが、その意味ではやや肩すかしでした。投資家としてというよりは経営者としての立場で書かれており、企業グループのマネジメントやコーポレートガバナンスについて書かれた箇所が大半で、投資手法についてはごく僅かな文量しかありません。株主に向けて書かれた文章なので、バークシャーの状況や経営上の意思決定について説明することが主眼になっているんですね。

バフェットの本はたくさん出ているので、投資にテーマを絞った本もおそらくあると思います(駄犬はバフェット本を読んだのは初めてで、他はよくわからないのですが)。投資のために読むならそちらのほうがよいでしょう。

全体的に硬い文体で、年次報告書から切り貼りして構成しているため話が飛び飛びになるし、読みやすいとは言いづらいです。しかし読者に十分な知識があれば豊かな知恵を取り出すことができる本だと思います。一番おもしろかったのは、バークシャーといえば長期投資のイメージがありますが、実際には裁定取引デリバティブもやっているということ。裁定取引には1節が割かれており、カカオ相場の歪みを利用したケース、原生林への政府保障を狙ったケースが挙げられています。

以下は投資哲学について書かれた箇所のメモです。

  • 私たちは、株式市場が来月、あるいは来年どのような動きを見せるかを予測しようとしたことは一度たりともありませんし、今もそのようなことをする気はありません。
  • マクロ的な見解をまとめたり、他人のマクロ経済やマーケットの予想に耳を傾けたりするのは時間の無駄です。実際、これは本当に重要な事実に対する見方を曇らせる可能性もある危険なことです。
  • 買おうとしている資産の将来の利益ではなく、価格変動に注目しているのならば、それは投機です。それも間違いではありません。ただ、私は自分が投機で成功できないことは分かっていますし、投機で成功し続けることが出来ると主張する人は信用できません。
  • 私たちが選ぶ企業の条件は、①その内容を私たちが理解し、②将来にわたり長期的に好ましい業績が見込め、③経営幹部は誠実で有能な人々であり、④魅力的な価格で購入できることです。
  • 2008年の終わりには「現金は王様」という言葉が聞かれました。まさにこのとき、現金は持っておくよりも投資すべき時期でした。同様に、1980年代の初めには「現金はゴミ」という言葉が聞かれました。このときは固定利付きの投資が記憶している限りでもっとも魅力的な水準にある時期でした。このようなとき、金利収入を必要とする投資家はリスク性資産への投資に夢中だったのです。