過去にあった上場企業の破綻、粉飾のケースを取り上げて、開示資料からどのようにその兆候を読み取れたかを解説する本。
取り上げられているのはJAL、スカイマーク、シャープ、アーバン、江守グループ、東芝、オリンパスなど。有名で分かりやすいケースが選ばれているという印象で、マニアには物足りないがこういうのに初めて触れる人にはちょうどよい案配でしょうか。
解説の内容にはとくに斬新な視点もなく、決して深い分析ではないように思いますが、約10年分の業績やキャッシュフローが表になっていたり、バランスシートが図になっていたりと、うまくまとめられており読みやすいです。財務3表がお互いどのような関係にあるかなど、会計の入門書に載っているような内容がコラムとして章の間にはさまっており、初心者向けに前提知識がなくても読めるよう配慮されています。
本書全体を通じてキャッシュフロー計算書を見ることの重要性、特に営業キャッシュフローのマイナスの定常化が危険な兆候であることがどの事例でも繰り返し出てきます。あとは以下のような点がチェックポイントとして挙げられています。