駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

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「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

[投資本]スタバ株は1月に買え (夕凪)

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著名な個人投資家によるイベント投資の解説書。イベント投資の基本的な考え方と、そのケースとして優待の買いを先回りする手法について述べられています。アノマリーなど雑多な話題も多く、あまり整理された内容とはいえません。

紹介されている優待先回りの手法については、現在では信用取引空売りと組み合わせたクロス取引が一般化しており、優待権利付最終日の前後で売り買いが片寄る度合いは当時に比べると小さくなっていると考えられ、本書が書かれた当時ほど有効な手法ではなくなっていると推測されます。そもそもこの手の手法は本になるほど知られたら終わりということが多いですし。イベント投資の考え方を学ぶために読むなら今でも有用な本だと思います。

イベント投資の考え方

イベント投資とは、ある銘柄を買わなくてはならない主体がいるときに、先回りしてポジションを取り、その主体が買いにきたときにぶつけて手じまう手法。具体的な例としては、日経平均TOPIXへの採用にともなうインデックスファンドの買いを先回りする方法、株主優待の買いを先回りする方法などがある。ある手法がずっと使えるものではなく、その時々のマーケット環境に応じて流行ったり廃れたりする。そのため、アイディアを常に複数持ち、マーケット環境の変化に応じて使い分ける。

株式相場が下落しているときでも利益を上げられるのがメリット。ただし、上げ相場では相場全体の上昇についていけず、指数をアンダーパフォームすることが多い。上げ相場で指数に勝つにはアグレッシブにポジションを取る必要がある。

売りつける相手が機関投資家個人投資家のいずれであるかを意識することが重要。機関投資家は一定のルールに従って売買するため相場環境に関わらず同じ行動を取るが、個人投資家は相場環境が悪いと動きが無くなる。相場環境の判断には信用評価損益率を使っている。

ボラティリティが小さく、指数に値動きが相関しない銘柄のほうが向いている。

企業のファンダメンタルズは一切関係ない。ファンダメンタルズに関係なく買わなくてはならない主体を相手にしているため。

優待先回り

優待権利日の2~3ヶ月前に買い、優待権利付最終日の直前に手じまう手法。手じまいは優待権利付最終日の3営業日前が基本で、直前に急騰する場面があればそこで売却してもよい。

女性、子供、オタクがキーワードで、彼らが好みそうな優待を出している企業を買う。下落トレンドにある銘柄は避ける。

著者について

1999年に株式投資を始める。一時は2倍に増やすが、ITバブル崩壊で退場。その後『東証1部昇格銘柄を事前にキャッチして資金を5倍にしたJ-Coffee投資法』を読んでイベント投資を知り、30万円を元手に相場に復帰する。順調に資産を増やして2011年に退職、専業投資家へ。

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