駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

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「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

[今週のトレード] 2020/12/4

今週の資産推移は+0.0%(+4万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが-0.6%、マザーズ指数が+0.9%と指数に対してまちまちでした。

これといったニュースフローもなく指数も小動き。今週は久しぶりにEV関連が盛り上がって、日本電産のようなド本命が買われる余波でほんとうに恩恵があるか疑わしい小型新興株がぽんぽんS高を付けていました。先月からシクリカルが強いのでその流れもあったと思います。自分は1つも乗れず、12/15(火)から年末のIPOラッシュが始まるのでその予習をしています。

今週の取引

3791 IGポート (-)

新規に買いました。買ったのは10月ごろで、それからあれこれ調べていてここに理由を書いてなかったので書いておきます。1Q決算を見て版権収入が会社の想定を上振れしているんじゃないかと思ったんですね。

1Q決算は10/9に発表されました。決算短信の1ページ目を見ると非常に見栄えが悪いです。

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しかしセグメントごとに見ると、映像制作事業の売上計上が小さかったものの、出版事業と版権事業は増収増益となっています。

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版権事業は限界利益率の高いセグメントです。制作に掛かった費用をB/Sに「映像マスター」として計上し減価償却していくのですが、この減価償却費がコストの大部分を占めます。そのため、会社の想定を上回る売上があればそのぶん利益の伸びに繋がります。(ただしNetflix向けの作品はちょっと違っていて、版権のセグメントに含まれているもののどちらかというと受託制作に近いビジネスという理解)

反面、出版事業は限界利益率が比較的低いはずで、かつ電子書籍を手がけるリンガ・フランカはブシロードとの合弁会社IGポートの持ち分は50%しかありません。そのため、以下では利益貢献の度合いがより大きいと思われる版権事業に注目して見ていきます。

ここは決算説明資料で作品ごとの版権売上を開示しています。今期の会社予想を見ると、全体で14.5億のうち、『GREAT PRETENDER』が2.4億、『Fate/Grand Order』が0.5億、それ以外の作品(以下「その他」とあらわします)が11.6億となっています。

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『GREAT PRETENDER』は全23話のシリーズもので、今年6月から9月にかけてNetflixで先行配信されました。版権収入の大半はNetflixから受け取る配信権が占めるものと思われます。シリーズものの場合、Netflixの配信権は全話の配信終了後に一括で支払われることが多いらしく(ただし契約に個別性が強く『GREAT PRETENDER』もそうである根拠はない)、1Q決算短信の版権事業セグメントの定性情報にも作品名が挙がっていないことから、『GREAT PRETENDER』の版権収入は1Qの売上には含まれていないと考えます。

Fate/Grand Order』は劇場用映画の興行収入と考えられ、映画の公開が12/5であることから明らかに1Qの売上には含まれません。

そのため、版権セグメントの1Q売上5.5億はその他の作品から得られたものと考えられます。会社の業績予想ではその他の売上として11.6億を想定していることから、その他だけを見ると1Qで47%という高い進捗率となっています。2Q以降も1Qと同程度の版権収入を得られるかはよくわからないのですが、たとえば「コロナの影響でSVODサービスの視聴回数が増えて、レベニューシェア部分の版権収入が増加した」みたいな背景であれば継続性がありそうですし、直近の業績を見ると版権セグメントの売上はそれなりに安定しており2019Q2の3.2億が最小の数字なのでこの3倍くらいは少なくとも今期の2Q以降で計上されそうに思われますし、会社予想の売上14.5億よりは上振れして着地すると期待できます。また、『GREAT PRETENDER』の配信権の売上はNetflixの配信スケジュールから2Q計上になる可能性が高いと思われ、次の決算をまたぐ理由になります。

ただしこのあたりは全体的に確度が低いです。それぞれの作品からどのように版権収入が得られてどのようにIGポートに分配されるのかは明らかにされません。ものの本を読むと製作委員会の内部で版権収入がどう配分されるかは個別性が強くて外部からはブラックボックスであり、どうも出資割合(株式の持ち分)に応じて分配されるみたいな単純な形ではないようです。ちなみに製作委員会の持ち分については有報の「関係会社の状況」でわかります。

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1Q決算で映像制作セグメントの売上が小さいことについては、そもそも四半期単位だと業績がブレるセグメントであること、ここの会計処理では納品のタイミングで一括して売上計上されるため(工事進行基準みたいに進捗に応じて分割して計上されるケースはないとおもう)コロナ影響で作品公開が遅れるなどして納品が少なかったという説明が付くこと(ただし決算短信にそう明記されているわけではない)、QonQで前受金が10.7億、仕掛品が8.4億増加していることから、売上の小ささ自体は問題ではないと考えます。ただし今回のコロナでテレワークに移行したとの記載があり、制作現場の生産性が落ちている恐れがあります。また、納品が後ろ倒しになって期ずれになる可能性もおそらくあって、映像制作セグメントの今期業績には悪い数字が出てくるリスクがあります。

ここは本業の映像制作ではさっぱり儲からず、版権と出版の両セグメントで稼いで映像制作の赤字を穴埋めするという会社です。1Qの版権セグメントの売上はけっこう面白いと思って株も買いましたが、不確定要素が多くてポジションサイズは小さめにしています。さしあたっては2Q決算をまたいで内容を見てみたいです。

ポートフォリオ

サマリー
  • 評価額合計 117,358,370円
  • 前日比 -1,067,607円 (-0.90%)
  • 月初比 +570,162円 (+0.49%)
  • 年初比 +27,821,180円 (+31.07%)
現物

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信用

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先物

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