駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

2020年の振り返り (1) 今年の流れ

f:id:bone-eater:20210101014222p:plain

2020年のパフォーマンスは+51.91%でした。ショックとバブルを1年でやってしまう早回しのスピード感で、マーケットの限界を試すようなことが立て続けに起きました。こんな激動の年は自分が死ぬまでにもう二度とないんじゃないかと思います。

今年の流れ

年が明けて1月中旬からコロナのニュースが出始めて、1月下旬からは日本でも感染者が発生しマスクが売り切れるなどパニックが拡がっていきましたが、この頃の自分はまだ中国のローカルな問題と捉えていました。1月の最終週にはコロナデメリットもいいところなMSコンサルを購入しています(これは今年の最大損失となる失敗ポジションでした)。

2月に入ってもマーケットの反応は限定的で、2/6にはダウが当時の史上最高値を更新しました。コロナの状況も悪化の一途だったわけではなく、1週間くらい減少が続いてピークアウトっぽくなったりして、マーケットも判断に迷っていた期間でした。ここでポジションを落としていればよかったのですが、まだコロナを甘く見ており一時的な事象だと考えていました。

f:id:bone-eater:20210101013323p:plain

2月最終週から暴落が始まります。この週は過去最大の損失となり、ここでようやく影響の深刻さを認識することとなります。しかしTOPIX-9.7%に対して-22.9%も減らしているのは酷すぎる。原因は2/28の記事に書いたように、小型株のポジションサイズが大きくなっていたこととヘッジしたつもりの指数売りがあまり機能しなかったことです。

今週の資産推移は-22.9% (-2123万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが-9.7%、マザーズ指数が-15.4%と指数に対してアンダーパフォームでした。

ここからポジションの手じまいを始めます。後から振り返ってこのとき良くなかったのはIT株から手を付けたことです。3月にコロナショックの底でメドレー、セプテーニ、ユーザベース、フィードフォースを手じまっていますが、ネット広告代理店のセプテーニを除けばコロナにそれほど悪影響を受けない会社であり、ポートフォリオに残すのが正解でした。逆にシダックス、MSコンサル、フロンティアインターナショナルといったコロナデメリットの銘柄を残しています。当時の自分はPERの高い新興株ほどショックの影響を受けるだろうと考えていたんですね。平均1400円で売ったメドレーは10月には7000円を付けました。

3月には原油先物がマイナスになったり、ダウが1日で2997ドル下げたり、自分の保有株に板がなくなったり、東証REIT指数が1ヶ月で49%下げたり、相関するはずのペアが真逆の動きをしたり(ドコモとKDDIなど)、信用買い残が1週間で2割くらい減ったりしました。この頃にはプログラマの仕事もリモートワークに移行しておりザラバに張り付くことができて、通常のマーケットではありえない動きをつぶさに見られました。

各国の金融緩和、財政出動により4月に入るとマーケットは落ち着いていきます。この時期にはコロナは早期に収束して金融緩和の効果だけが残ってバブルになるという説と、本格的なリセッションに入り長期にわたり株価の低迷が続くという説が対立していました。「2番底がくる」というフレーズがTwitterのタイムラインに溢れており、自分もどちらかというと相場の先行きに悲観的だったように記憶しています。このときが最大の買い場でしたが、資産を半分近く減らした状態でメンタルが弱っており、あまりポジションを復元できず。3月に手じまったポジションで買い直せたのはユーザベースくらいでした。

コロナショックの後には投資スタイルに変化があり、長期のポジションが減って、かわりに長くて2週間程度のスイングトレードが増えました。実態経済への影響が見えない中で、精神的に長期のポジションを取りづらく感じるようになり、よりストレスのない短期のポジションが増えていきました。とくに決算ギャンブルに力を入れて、Excelで数字をいじくって業績予想を出したり、POSデータなどのいわゆるオルタナティブデータを参照するようになりました(高額の費用が掛かるものが多く、あくまで自分の参照できる限られた範囲でですが)。IPOセカンダリも時間を掛けて開示資料を読んで自分なりに準備をして挑むようになりました。これらのスイングトレードは今年の利益に少なからず寄与してくれました。

夏から秋にかけてはコロナメリットの業種(スーパー、ホームセンターなど)やテーマ株(電子書籍、EC、リモートワークなど)が極端に選好されるモメンタム優位な相場になりました。このときもてはやされた銘柄で大きな利益を出せたのはGMOペパボくらいでしたが、決算ギャンブルがうまく行ったこともあり7/22に年初来がプラ転し、8/21にはドローダウンを回復しました。ドローダウンの回復には年単位で掛かると思っていたのに半年もせずに達成できて、1億達成のお祝いもしてもらいました。地合のおかげだと思います。

この時期は株価の動きがやたら素直になって、今までとちょっと違った感触がありました。小売の会社で月次を出しているなど明らかに好決算が出てくるとわかっているケースで、決算発表前に期待上げで10%くらい上がっていても、決算後に買われて1週間くらいはモメンタムが続くみたいなのがよく見られて、なんか新しく入ってきた参加者がけっこういるのかなと思ってました。今ではもうそういう素直さは薄れましたが。

10月に入るとマザーズの上昇が天井を打ち、11月の大統領選後には大型株が先導する指数先行の上げ相場となりました。指数ヘッジが股割きになるパターンで2ヶ月連続のマイナスとなり、周りが儲かっているなかでしんどかった。自動車や鉄鋼など重厚長大なシクリカルセクタが買われるようになり、バイデン政権の政策と絡めてEVや再生エネルギーがテーマ化するなど、注目の対象が移り変わっていく時期でもありました。12月はドーンの急騰とIPOセカンダリのおかげで大きめのプラスで終えることができました。

来年のこと

今年後半からアフターコロナの銘柄を増やしていますが、来年も引き続きポートフォリオをアフターコロナに寄せていくつもりです。アメリカ、イギリスでワクチン接種が始まっており、今のところは重大な問題も起きていません。時間差はあるにせよ先進国はワクチン大量供給からの集団免疫獲得に向かうでしょうし、その過程でコロナでダメージを受けている企業も(すべてではないでしょうが)再評価されると考えます。現在のポートフォリオではきずなHD、スプリックス、フロンティアインターナショナル、スペースマーケット、シダックスが該当します。最期まで株価が戻らないであろう空運や旅行、ホテルといったセクタにも買えるときがくると思っています。

新興市場は半分くらいバブルになっていて、自分の好きなIT系グロースの会社には長期的に維持できない時価総額になっているものが多いように思われます。現在保有している銘柄でもBuySell、ユーザベースなどは今の時価総額はいかにも高い気がします。どこかでキラキラ銘柄の全体的な水準訂正が起きたときの心の準備をしておきたい。ただし金余りな環境はしばらく続きますし、一部の銘柄がバリュエーション無視で買い上げられるモメンタム優位な相場がすぐに変わるとも思えず、今だとココペリみたいなやつを時価総額を見ないで買う気合いが必要とされていると思います。

ここまで口座のお金を引き出さずに来ましたが、1億円を超えたこともあって少しずつ使っていこうと思って、年末に1000万円を出金しました。自分は10年くらい相場で負け続ける時期があって、毎月給料が出るとFXの口座に入れてぜんぶ溶かすってのを何年もやっていたので、かつて失ったお金を相場から取り返せたことに感慨があります。