駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

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「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

[今週のトレード] 2021/2/05

今週の資産推移は+8.2%(+1044万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが+4.5%、マザーズ指数が+4.4%と指数に対してアウトパフォームでした。

先週とは一転して強い相場で、ゲームストップの狂騒ははやくも過去のことになりました。いくつかのファンドが空売りで損失を出したものの、マーケット全体への影響は限定的でコップの中の嵐で終わりそう。今週はTOPIXバリュー(TOPXV)+6.43%、TOPIXグロース(TOPXG)が+2.76%とバリュー株が選好され、アフターコロナの銘柄が物色されました。空運や一部の外食など破綻リスクのある会社も上げておりゲームストップに絡むリバーサルの可能性もあるように思われますが、どちらかというとワクチン接種の進捗と今後の正常化を織り込む流れと感じます。

今週は地合のおかげで決算の反応が良くなり、決算ギャンブルのポジションで利益を積み上げることができました。コロナで保守的な業績予想を出していた会社の上方修正が山ほどでてきますが、素直に買われるケースとダメなケースの違いがなかなかわからない。信用残の推移や直近の出来高くらいは見るようにしていますがそれだけだと精度が出ないし、うまいこと定量的に評価することができたらよいのですが。

今週の取引

2410 キャリアデザインセンター(-)

新規に買いました。転職サイト運営など人材サービスの会社で、足下でコロナの悪影響を受けていますが、1/29発表の1Q決算で業績が急速に回復しており、内容を見ても回復傾向の継続が見込めそうです。会社の業績予想は今期3.8億の営業赤字、四季報も「【連続赤字】」「営業赤字続く」といった文言があり赤字の予想ですが、コロナ前の水準とは行かなくてもそこそこの黒字で着地すると思われ、ギャップを取りに行けると考えました。

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キャリアDCの人材サービスの特徴はIT技術者をメインターゲットとしていることです。前期はメディア情報事業の売上35.9億に対してIT技術者向けで14.3億を上げています。IT業界の景況感は懸念されていたほど悪化しておらず、今回の決算シーズンで出てきたIT大手の決算説明資料を見ると各社とも前期並みの受注を獲得しています。最大手のNTTデータは3Qまでで前期比-0.3%の受注高となっています。IT技術者への求人の落ち込みは一時的なもので、人材サービスへのニーズも早々に元の水準に回復するものと考えます。

その反面、IT技術者以外のサービスは回復に時間がかかるかもしれません。とくに女性向けの媒体「女の転職type」は事務職や営業職の比較的低スキルな求人が多く、コロナの影響を引き摺りそうです。

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決算短信の定性情報にメディア情報事業のジャンル別売上(前年同期比)が記載されており、四半期単体の数字に戻した上でプロットするとトレンドがわかります。前期Q4が底となっており、今期Q1で急速に回復していることが見て取れます。

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販管費を見ると、前期1Qと今期1Qで2.5億減少しています。キャリアDCの販管費はほぼ給与と広告宣伝費で構成されており、給与は固定的と考えられるため、広告宣伝費の削減によるところが大きいと思われます。実際、1Q決算短信には「広告宣伝費は前期から大幅に抑制」との文言があります。おそらくニーズの回復が遅い女性向けなどの採用媒体の広告費を絞っているのでしょうが、それで1Qを黒字にできているならコストコトロールが効くということで、2Q以降ふたたび業績が落ち込む可能性は低そうに思えます。ただし広告費を削った影響は2Q以降にもあらわれるでしょうからメディア情報事業の売上を今後下押しするおそれがあります。

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2Q以降の業績回復にもっとも貢献すると考えられるのが人材紹介事業です。人材紹介は成約から売上の計上まで1~2四半期の遅れがあります(転職先企業での就業開始をもって売上計上するため。人材紹介会社は一般的にこうしている)。今期1Qの人材紹介事業の売上は前年同期比-35.6%、QonQで見ても横ばいと非常に悪いのですが、これはコロナの影響が強く出ていた時期の実績が反映されているためです。キャリアDCの人材紹介事業はメディア情報事業と同様にIT技術者をメインターゲットとしているように思われ(具体的な数字が開示されているわけではないが、「type転職エージェント」のWebサイトで公開求人情報の件数や取引企業リストを見るとそれが窺える)、求職者の層からも今後の業績回復が期待できます。

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他にはIT派遣事業と新卒関連の事業があります。前者はゆるやかな成長を続けており、今後もこのトレンドが継続すると思われます。後者はよくわからず、売上規模が小さいのでちゃんと調べていません。

今後はしばらく保有して業績の推移を見るつもりです。コロナショック前の株価が1400円前後で、今後の決算で業績の回復があらわれるにつれてその水準に寄せていかないかなと思っています。一般職業紹介状況、労働力調査dodaの月次レポートあたりを参照できそうなのと、あとはJACが決算説明資料で月ごとの実績を記載しているので来週出てくる決算を確認したい。

最後に補足すると、ここ1年ほどで大株主のリストが大きく変動しており、Aslead Capital、SHIFT、光通信が新しくリストに登場しています。Aslead Capitalはエンゲージメント投資のファンド(?)で、最近ではジャパンシステムのTOBで名前がでてきたりしています保有の狙いはよくわからず。SHIFTは有報に「業界動向の把握」とあります。光通信はいつものバリュー投資かなと思います。キャリアDCは過去に稼いだ利益がB/Sに現金で積まれているタイプの会社でそこそこキャッシュリッチです。

有報の所有者別状況をみると個人投資家の割合はほぼ変化しておらず、機関投資家の間で株式の移動があったものと考えられます。彼らの売り買いのバランスによって今後値を下げる可能性はありそうです。特にAslead Capitalが13.52%も保有しており今後の動向が気になります。大量保有報告書を見ると一貫してほぼ市場内で買い続けており、取得単価の平均は900円程度と思われ、いまの株価で手じまいに動くことはあまりなさそうかなとは思います。

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ポートフォリオ

サマリー
  • 評価額合計 137,618,399円
  • 前日比 +489,423円 (+0.36%)
  • 月初比 +10,442,609円 (+8.21%)
  • 年初比 +11,600,480円 (+9.21%)
現物

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信用

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先物

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