駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

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「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

[投資本] 上場ベンチャー企業の粉飾・不公正ファイナンス(門脇徹雄)

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2010年前後に上場廃止となった新興企業30社について、上場廃止にいたる経緯をまとめた本。1社あたり6ページを使って、テンプレに沿って淡々と事実を記述するスタイルで、分析的な記述には乏しいです。投資家の目線で知りたいような、たとえばどうすれば事前に粉飾を見抜けたか、といったことは書かれていません。

悪名高い粉飾の事例としてエフオーアイ(売上の97%が架空だった)くらいは聞いたことがありましたが、他にも売上を何倍にも水増しした極端な粉飾の事例がいくつもあり、問題がいきなり明るみに出て株価が突然死した事例もあって、読んでいてゾッとさせられます。また、傾いた会社が反社などに食い物にされる事例について、第三者割当増資やMSCBで調達した資金がどのように社外に流出したかが書かれており、たまにクソ株がシナジーのかけらもなさそうな分けのわからない会社を買収することがありますが、あれはこういう目的でやっているんだなと理解が深まりました。

2000年代に新興市場でトレードしていた人なら、懐かしい社名が出てきて面白く読めるかもしれません。無味乾燥とした書きっぷりであまり入り込めず、自分はさっと目を通すような読み方になってしまいました。