著者の二人が初心者向けに投資の心構えを述べた本。片山晃さんは言わずと知れた著名な個人投資家で、五月というハンドルネームの方が知られています。小松原周さんはプロのファンドマネージャーらしいですが、ぐぐっても経歴やトラックレコードはよくわからず。
抽象的な一般論がさらっと書いてある感じで、分量も少なくてあっという間に読み終えてしまいます。内容として悪いわけではなく、比較的経験のない個人投資家向けに役に立つことが書かれていると思います。「向いていない人がアクティブな株取引で大きく儲けることは出来ない」「時間も情熱もかけられない人はそれ相応の方法でやるべき」というネガティブなことをちゃんと述べています。
ちなみに小松原周さんのパートは失礼ながらつまらないのですが、仙人の祈りというご本人のblogは読んでみたらなかなか面白いです。投資の基本的な考え方を説明するとどうしても画一的で平凡な内容になってしまうんでしょうね。
片山晃さんパート
投資歴
- 2005年に株を始めた
- 2006年末に200万の資金で専業になり、デイトレで2007年10月に1000万になった
- リーマンショックの少し前から勝てなくなり、2008年8月になっても1000万のままだった。もっと上手い人たちが周囲にいるなかでデイトレへの限界を感じた
- リーマンショック後にバリュー株への長期投資に手法を切り替え、2009年に割安な銘柄に幅広く分散して投資した
- 株価が2倍、3倍になる銘柄と横ばいのままの銘柄があり、低PERや低PBRというだけではダメということを学んだ
- 企業に起こる変化に注目し、グロース株に投資するようになった
手法
- 小型の成長株がその頭角を現しはじめる初動を捉えて集中的に投資する
- 誰が考えてもそうなるだろうなというシンプルなストーリーのある銘柄を買う
- 買値から何パーセント下がったら売るというような機械的なルールは持たない。当初想定したストーリーに狂いがなければ売らない。ただし株価が下落するのは他の投資家が何らかのリスクを感じているということだからその背景は調べる
- すべての適時開示に目を通す。新聞も読む。広く薄くさまざまな分野に通じていることに価値がある
- 過去のパターンを知ることは大事。歴史は繰り返す。ジェイコム事件の前年に電通の誤発注事件があり、その知識があれば誤って売った株の買い戻しがくることを想像できた