駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

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「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

2019年の振り返り (1) 全体的なこと

2019年の結果

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2019年のパフォーマンスは+83.98%でした。結果としては上出来の数字で、資産1億円という区切りがもう目の前になりました。しかし年間を通じて順調だったわけではありませんでした。年初からのリバウンドを取れて3月に+30%に到達した後には苦戦が続き、8/29には+11.18%まで落ち込みました。ラスト3ヶ月の強い相場のおかげで一気に帳尻を合わせた形で、毎年のことではありますが反省点の多い一年間でした。

相場の雰囲気がめまぐるしく変わった年で、今年前半はリセッション懸念が強く米中貿易交渉も先行きの不透明さが先だっていました。この頃はブログにリセッション恐い、ディフェンシブなポートフォリオにしようみたいなことばかり書いていましたが、これはぼくだけがこうだったわけではなく、わりと相場全体の風潮であったと思います。ファーウェイの制裁が注目されたのもこの頃で、ファーウェイがAndroidから独自OSに切り替えるとか、欧米のテック企業が中国から人員を引き上げているといったニュースがありました。この頃は世界が技術的に分断されてしまうんじゃないか、5年後の中華圏はアーキテクチャRISC/VでOSも独自でその上で使われるサービスもまったく別物になったりするんじゃないかとか考えて暗い気持ちになっていた覚えがあります。経済指標もおしなべて弱く、夏頃にはイールドカーブが逆転する期間もありました。

今年前半はポートフォリオからシクリカルな銘柄を落として、バリュー面のクオリティがあるとか、自社株買いなどの受給の裏付けがある銘柄に入れ替えていました。これは今から振り返ると失敗で、とくに半導体セクタの銘柄を落としたことは今年後半のパフォーマンスにマイナスの影響となりました。特に悔やまれるのはせっかくポートフォリオに入れていたニューフレアを手じまったことで、その後TOBが発表されるまで持っていれば買値の2.5倍くらいになっていました。

今年後半は一転して楽観的な雰囲気となってダウは史上最高値を更新、日経平均も24000円を付けました。FRBがバランスシート拡大に転換し各国の中央銀行も緩和に向かい、米中貿易交渉もそれなりに進展、テンプルトンのいう「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち……」を地で行く相場であったと思います。

日本の小型新興は8月に崩れる場面がありました。この時期はヘッジに使っている日経平均と小型新興の動きが乖離し、ポートフォリオの決算もおしなべて悪く、自分にとっては2018年12月に匹敵するツラい相場でした。8月のパフォーマンスは-15.99%となり、これは2018年12月の-11.21%を下回る数字でした。しかし9月に入ると持ち直して上げ相場となり、自分のポートフォリオでも中長期で保有していたシンポ、フロンティアインターナショナル、アイリッジ、ガイアックスあたりが上げてくれてパフォーマンスに大きく貢献しました。特にラスト2ヶ月はIPOセカンダリの異様な強さもありバブルの雰囲気がありました。

振り返り

半導体セクタ

半導体セクタのポジションをリバウンド開始前にあらかた手じまったのが今年最大の失敗でした。今年前半は半導体について良いニュースを目にすることは少なく、市場規模が何パーセント縮小するだの、在庫調整で部品がダブついてるだの、NewsPicksの半導体業界人たちが「今年後半からの回復は厳しい、時間が掛かる」と言うなど(ぼくはNewsPicksの現場の人たちの言うことにわりと影響されてるとおもう)、悲観的な情報ばかりインプットしていたんですね。主要銘柄(東京エレクトロンアドバンテストなど)も大幅な減益予測を出すし、当時のぼくは半導体の行く末に過度に悲観的になっていたとおもいます。

今年手じまった半導体銘柄は以下のとおり。複数回に分けて手じまった銘柄は最後の日付、株価です。インターアクションなんかもう今の株価では買いづらい。スマホの複眼化という明確なトレンドがあり、ソニーとの繋がりの強さもあって、成長が約束されたような会社だと思っていたのに、本決算発表の前日に不安な気持ちが勝って手じまったんですね。せめて半分の枚数でも残しておいたら決算通過後に買い戻せた気がしますが全部売ってしまったのも悪かった。

銘柄コード 銘柄名 売却した日 売却時の株価(1) 年末の株価(2) (1)と(2)の比較
6256 ニューフレア 7/31 7200 11940 +65.8%
6298 ワイエイシイ 2/14 705 758 +7.5%
6616 トレックス 3/7 1246 1641 +31.7%
7725 インターアクション 7/12 1392 3170 +127.7%

ぼくは半導体業界のインサイダーではなく、メディアの記事で業界の動向をフォローしているだけで、半導体業界の先行きについて特別な洞察を持っているわけではありません。メディアの記事を読むことが無駄とは思わないけれど、調査会社が2020年の半導体はこうなるとか言うのに影響されてトレードをするのはよくないんでしょうね。半導体スーパーサイクル説に身を委ねてポートフォリオの一定割合を半導体に割り振って、下落サイクルは甘んじて喰らうとかしたほうがパフォーマンスは上がるのかもしれません。

今のポートフォリオ半導体セクタと言えるのはエスケーエレクトロニクスだけになってしまい、もっと増やしたい気持ちはあって、さしあたっては過去に買っていた銘柄をおさらいすることから始めたいと思います。

リスク管理

今年は以下の2つのルールに従ってリスク管理をしました。

  1. 1銘柄のポジションサイズを資産額の10%未満とする
  2. 買いポジションの総額が資産額を超えた場合、超過分を何らかの方法でヘッジする

ヘッジには日経平均先物を使いました。決算シーズンなどポジションが増えがちな時期があるので、そのときは先物を多めに売って調整していました。一年を通じての推移は以下のグラフのようになりました。エクスポージャーは買いポジション(現物、信用)の総額と先物のヘッジ分をネットした金額をそのときの資産額で割って出しています。

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エクスポージャーの割合はおおむね60~100%に収まり、均すと80%くらい。年末時点だと買いポジションが1.47億、売りヘッジがミニ30枚で0.70億換算、エクスポージャーが85%という数字です。自分のリスクの取り方としては小さいのですが、昨年末の暴落でリスクを抑えめにしたのを維持する形になりました。

もっとリスクテイクすべきという気持ちと、いまの資産を守りたいという気持ちのせめぎ合いがあって、どちらかというと後者のほうが強いです。いまの9000万ほどの資産を大きく毀損して、たとえば半分とかになった場合に、もう一度同じところまで戻せるかというとわからないし、自分の年齢的に本業の稼ぎで補填するのもしんどいと思ってしまう。ただこういう守りのメンタルはたぶん良くなくて、Twitterを見ると何億の資産があってもフルインベストメントしたり、信用でレバレッジを掛けたりしている人がいるわけで、ああいう胆力が必要だと思っています。

今年は大型と新興で乖離した動きになる期間が長く、日経平均先物をヘッジに使うのは股割きになることが多かったです。それでマザーズ先物を試しに売ってみたこともありましたが、現物との乖離や流動性が問題で使いづらく、日経平均先物でよいのではというのが今のところの結論です。そもそも指数でヘッジするのがよいのかという話もあり、急落時の精神安定剤という意味あいしかない気もするのですが、1日で300万とか500万とか減るときの精神的な負荷、それで狼狽しておかしなトレードをするリスクを考えるとまあヘッジを入れててもよいのでは、というようなお気持ち。いったいなにが正しいんでしょうか。難しい。

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まとめると来年も同じ方法でやりつつ、どちらかというとヘッジのサイズを落としてより大きなエクスポージャーを取るようにしたい。あとは個別株の空売りロングショート戦略にしたいという気持ちもありますが、2017年にやってうまくいかなかった記憶がまだ強いので手を出しづらいです。

短期トレード

今年もザラバにヒマを見つけて、とくに自宅で仕事をする日にはデイトレをやっていました。今年のデイトレ収支(その日のうちに手じまったポジションの損益の累計)は+321,308円でした。プラスになってはいますが、二つ三つ逆に動いたらマイナスになっていたくらいのギリギリの数字で、期待値でいうとトントンくらいのトレードをしていたと思われます。

今年は開示(とくに決算発表)の内容を見て、自分の考えるインパクトと翌日の寄り値にギャップがあるときにポジションを取ることが多かったです。基本的に買いでやっていたので、自分の考える値段より安く寄るようなら買って、適当なところに引け成りで指すというやり方。以前はテクニカルでやっていたけどちっとも勝てないので、そっちはあきらめて別の方法でやろうとしてこうなっています。

いっこうに勝てるようにならず自分にはデイトレの適性がないんじゃないかともおもうんですが、さしあたって負けているわけではないし、ギャンブルの楽しさもあるし、そのうち勝てるようになれば収益源も増えるということで来年も続けてやってみます。

スイングではIPOセカンダリと決算ギャンブルをやることが多く、こちらはトータルでそこそこのプラスになりました。決算ギャンブルについては、地合によって反応の善し悪しがガラッと変わるので地合でポジションの取り方を変えるのが大事だというのと、8月みたいに極端に地合の悪いときは中長期のポジションも決算を跨ぐときには減らすなりしたほうがよいというのと、小型と大型はやっぱり反応が違う(大型のほうが不規則で難しい)というのが今年の所感でした。IPOセカンダリも、小型新興の地合がよかった2017年と比べてもちょっと傾向が変わったように思います。海外での売り出しが増えたこと、IPOセカンダリ光通信やら海外ファンドが入ってくるようになったこと、個人投資家の資金量の増加などが原因のように思われます。次にfreeeみたいなのが来たときにちゃんと乗れるようにしておきたいものです。