駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

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「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

[投資本] タートル流 投資の黄金律 (カーティス・フェイス)

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『タートル流 投資の魔術』の著者が書いたメンタル本。『ゾーン』や『デイトレード』と同じ系統の本で、トレードにおいて人間らしい感情とどのように向き合い、恐怖を克服したらよいのかが書かれています。タイトルに「タートル流」と入っていますが、ただ著者の考え方が縷々と書かれているだけで、タートルズとはもはや何の関係もありません。

著者は人間がリスクを恐れるのは本能的なものであると述べ、「不確実性にたいするそういう機制や心理的な反応は、原始時代にはそれなりの意味があったが、現代ではむしろ足かせになることが多い(p.27)」として、トレードにおいてもリスクに対する恐怖心を乗り越えなくてはならないと言います。

また、不確実性は「情報の不確実性」と「無秩序の不確実性」の2つに分けることができ、前者は取り除くことができるが後者はそうじゃなくて、「ほとんどの決断にかかわってくる不確実性を、全部取り除く方法はない(p.31)」と言います。そして何やら理屈をこねたうえで、われわれはリスクを受け入れて明鏡止水の境地に至るしかないんだよ、というような趣旨のことが述べられます。

本書で主張されることは『ゾーン』のそれに近いですが、『ゾーン』のほうがはるかに説得力に富み、トレーダーの心理をうまく描写しており、この手の本を読むのであればそちらを読んだ方がよいです。必要性のよくわからない著者の個人的な挿話がいくつも差し挟まれる冗長な構成で、最後まで読みすすめるのもしんどい感じでした。