駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

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「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

[投資本] リバモア流投機術 (ジェシー・リバモア)

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ジェシー・リバモアが自らトレード手法を著した『How to Trade in Stocks』の邦訳。原著が書かれたのは1940年で、リバモアが亡くなった年です。リバモアはキャリアの中でトレードスタイルが変わっていったようですが、本書ではキャリア後期のリバモアが用いたトレンドフォローの手法が説明されています。

企業のファンダメンタルズは無視して株価の動きだけに注目し(「価格変動の裏にあるさまざまな理由に興味を持ちすぎるのは良くない」とのこと)、ピボットポイントを抜けたらポジションを取ってピラミッディングで積み増していき、トレンドが崩れたら手じまいます。特徴と言えそうなのは以下のような点でしょうか。

  • そのときの市場で注目されているセクタの先導株をトレードする。また、トレード候補の銘柄はごく少数に留める。本書が書かれた当時の注目セクタは鉄鋼、自動車、飛行機、通信販売だったそうで、それら4セクタから2銘柄ずつ候補とすることが薦められています
  • 同一セクタに属する2銘柄の株価を合計した値の推移からトレンドを判断する(キープライス)。その理由として「1銘柄だけに頼ると偽の変動にとらわれる危険性がある。2銘柄の変動を組み合わせることで合理的な確信が得られる」と書かれています
  • ポジションを手じまって利益が出るたびに、利益の半分は口座から出金する。リバモア自身これを実践し、トレードで利益を出すたびに20~30万ドルを出金していたとのこと(その金を最期にはすべて失ってしまったことも書かれていますが)

おそらく当時利用可能だった情報の制約からこうなっていて、もしリバモアが現代に生きていたらまた違った方法でトレードしているのでしょう。株価を以下のような表に書き込んでトレンドの変化を判断する方法が紹介されていますが、当時はチャートが簡単に参照できなかったためにこうなっているのだと思います。

本書に書かれていることは現代の視点からするととくに真新しい点もないシンプルなトレンドフォローですが、モメンタムという概念がどれだけあったかもわからない時代にこの手法を実践していたことで優位性があったのかなと思います。もちろんリバモア自身の才覚もあったんでしょう。この手法で当時の相場をどう立ち回ったのか、『欲望と幻想の市場』も読んでみたい。

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