駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

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「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

2022年10月の振り返り

パフォーマンス

S&P500のコンセンサスEPSが下がり続け、FANGが決算をミスる中で、株式市場はなぜか力強いリバウンドを見せた1ヶ月でした。11/2のFOMCを控えてハト派への転換を織り込んでいると解説されることが多いです。需給のよさでベアマーケットラリーやっているだけで結局は下げ相場に戻るんじゃないの? とどうしても思ってしまいますが、野村証券の10/26レポートで「アーリーシクリカル分野の部品在庫圧縮は終盤へ」とあるなど、サイクルの終わりを見据えた論説が出てくるようにもなってきています。マクロ経済のことなんてさっぱりだしどちらに行っても良いように控えめのリスクテイクにしておこうと思いつつ、個別の銘柄をみるとこれはどうみても安いのではというものが散見されてもっとポジションを取りたくなってしまうという悩ましい状況にあります。

持ち株のパフォーマンスは冴えず決算ギャンブルでも勝てず、完璧に指数負けするという見せ場のない1ヶ月となりました。東証大型株指数が今月+6.2%に対して東証小型株指数が+3.3%と、小型株が大きく劣後する自分には逆風の環境でした。マザーズ指数は今月+7.2%も上げましたが体感ではせいぜいその半分だったと思います。毎週の記事にも書いたように決算ギャンブルはどうも噛み合わず、以前よりも勝ちづらくなったように感じています。これが一時的なパフォーマンスの落ち込みであってくれると良いのですが。2022年も残り2ヶ月となり、11月の決算シーズン、12月のIPOラッシュと勝負どころが続きます。

ポートフォリオ

ポートフォリオの状況です。今月のパフォーマンスの内訳をざっくり出すと以下の通り。

  1. 月の途中で買ったもの: +120万 (#7, #20, #21)
  2. 月初から持ってたもの: +1610万 (1.の3つ以外)
  3. 短期トレード: -130万
  4. 指数ヘッジ: -1150万

1.は決算を見たりして買ったもの。IGポートは『スパイファミリー』の版権料が会社のガイダンス前提を上振れて着地するように思える(本決算の決算説明資料を見ると数千万しか見込んでいない)ことと『魔法使いの嫁』新シリーズが2023年4月から放映開始で数年前にそれで利益が伸びたことがあって再現の期待が持てなくもないことと株価の位置から期待値あるのでは? と思って買った。アドテックプラズマは受注残の推移が良く、生産キャパの増強中でそれがハマれば今期ガイダンスを超えて利益が出るポテンシャルがあってそのわりにPER5倍台なのでこれなら期待値あるかなと思って買った(ただ半導体の設備投資に業績が左右されるため足下の状況に不安はある)。FPGは大口組成のリリースがいくつも出ており来期の業績に手堅さがあるので。

2.は月初38,142万のポジションサイズに対して+1,610万となり、パーセンテージにして+4.2%。TOPIXマザーズ指数に劣後しており残念なパフォーマンスでした。リユース企業(#1,#4,#15,#19)の貢献が大きく、小型グロース(#16, #17, #22, #24, #25, #26, #27)は今ひとつ。テイツーを決算発表直前に売ってしまい、買い直せていないのが悔やまれる点です。信用買い残が大きくていったん外したら、決算後に急上昇していきました。

3.は決算ギャンブルが-190万、その他で+60万。最大利益は霞ヶ関キャピタルの+89万、最大損失はNPCの-184万でした。NPCの損失がダントツで大きく、事前に広くカタリストが知られて期待の乗った本決算をまたぐのはよほど確信がなければやらんほうがよいなと思いました。

日本株マーケット

鉱業がトップで、たしかに今月は資源株の強い日が多かったような……。INPEX原油価格がほぼ横ばいなのに+11.7%も上げています。2位のゴム製品、3位の医薬品もとくに印象がなく、今月は自分には傾向の見えない業種別指数の動きになっています。最下位の海運はコンテナ指数の低下から、鉄鋼は鉄鉱石価格の下落や鋼材輸出の減速がありその影響でしょうか。

9月のトップ2だった低ベータと低PBRが下位となり、かわりに高ベータと高PBRが上位に。グロース株は大型の赤字SaaSが大きく上げたりしてショートカバーっぽい動きでしたが、ファクターを見ても下げ相場のリバーサルをやっていたような気がします。全体としてはクオリティとモメンタムが強めでバリューが弱め。先月末の時点ではリセッション懸念の雰囲気が色濃くあったけれど、今月に入ったらたちまちリスクオンに変わってしまい、今年はコロコロ変わってめまぐるしい。

所感

  • 自分のポートフォリオを見ても10月は時価総額100億未満の超小型株がイマイチで、今年のIPOを見ても機関投資家が入ってこられない時価総額だと盛り上がらない(人気の出そうなキラキラした事業内容でもだめ)ようです。信用買い残は3兆円くらいを維持しているし、個人のセンチメントがそこまで悪いようには感じられず、選好される銘柄の傾向が変わってきているのかもしれません。

  • Twitterからコピペすると最近は「観測範囲にいる人たちをみるとみんなで同じようなところに注目して同じような先回りのポジションを取っている」ように思われ、どうも以前と比べると個人の参加者が小さなコミュニティ(TwitterのDMグループなど)を作るようになってアイディアの伝播するスピードが早くなっているような気がします。数億の運用資産がある個人の数も増えているから、流動性の乏しい銘柄だとすぐに混み合ってしまい、みんなで手じまいするタイミングで需給が崩れてしまっているのでは。今月のグッピーズとかそのパターンだったように思います。