駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

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「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

[投資本] 勝つ投資 負けない投資 (片山晃 小松原周)

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著者の二人が初心者向けに投資の心構えを述べた本。片山晃さんは言わずと知れた著名な個人投資家で、五月というハンドルネームの方が知られています。小松原周さんはプロのファンドマネージャーらしいですが、ぐぐっても経歴やトラックレコードはよくわからず。

抽象的な一般論がさらっと書いてある感じで、分量も少なくてあっという間に読み終えてしまいます。内容として悪いわけではなく、比較的経験のない個人投資家向けに役に立つことが書かれていると思います。「向いていない人がアクティブな株取引で大きく儲けることは出来ない」「時間も情熱もかけられない人はそれ相応の方法でやるべき」というネガティブなことをちゃんと述べています。

ちなみに小松原周さんのパートは失礼ながらつまらないのですが、仙人の祈りというご本人のblogは読んでみたらなかなか面白いです。投資の基本的な考え方を説明するとどうしても画一的で平凡な内容になってしまうんでしょうね。

片山晃さんパート

投資歴

  • 2005年に株を始めた
  • 2006年末に200万の資金で専業になり、デイトレで2007年10月に1000万になった
  • リーマンショックの少し前から勝てなくなり、2008年8月になっても1000万のままだった。もっと上手い人たちが周囲にいるなかでデイトレへの限界を感じた
  • リーマンショック後にバリュー株への長期投資に手法を切り替え、2009年に割安な銘柄に幅広く分散して投資した
  • 株価が2倍、3倍になる銘柄と横ばいのままの銘柄があり、低PERや低PBRというだけではダメということを学んだ
  • 企業に起こる変化に注目し、グロース株に投資するようになった

手法

  • 小型の成長株がその頭角を現しはじめる初動を捉えて集中的に投資する
  • 誰が考えてもそうなるだろうなというシンプルなストーリーのある銘柄を買う
  • 買値から何パーセント下がったら売るというような機械的なルールは持たない。当初想定したストーリーに狂いがなければ売らない。ただし株価が下落するのは他の投資家が何らかのリスクを感じているということだからその背景は調べる
  • すべての適時開示に目を通す。新聞も読む。広く薄くさまざまな分野に通じていることに価値がある
  • 過去のパターンを知ることは大事。歴史は繰り返す。ジェイコム事件の前年に電通の誤発注事件があり、その知識があれば誤って売った株の買い戻しがくることを想像できた

[今週のトレード] 2019/01/25

今週の資産推移は+0.1%(+6万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが+0.5%、マザーズ指数が+1.8%と指数に対してアンダーパフォームでした。

落ち着いた値動きの週。目立ったのは木曜日にフィラデルフィア半導体指数が5.7%上げて、日本でも流れを引き継いで半導体や電子部品が強力にリバウンドしたことでしょうか。これがシクリカルの底打ちになるかもしれないと思える動きでした。

kabutan.jp

ポートフォリオで上げたのはワイエイシイ(+5.7%)、ニューフレア(+4.4%)、富士山マガジン(+4.2%)。下げたのはUFHD(-8.1%)、コトブキヤ(-6.7%)、津田駒(-5.3%)でした。

そろそろシクリカルなセクタを買って、代わりに内需株を減らそうとしています。ここ半年くらい右肩下がりでしたが、足下では悪材料が出ても底堅い反応をするようになり、今年の落ち込みはもう織り込んだように思えます。来週からは決算シーズンが始まりますね。

今週の取引

6616 トレックス・セミコンダクター (-)
6677 エスケーエレクトロニクス (-)
6864 エヌエフ回路設計ブロック (-)

上3つは買い玉を立てて持ち越し。

シクリカルな銘柄を買おうということで買ったもの。エスケーエレクトロニクス、エヌエフ回路設計ブロックは以前持っていた銘柄の買い直し。トレックスは製造子会社を完全子会社化したことによる業績への寄与があること、(半導体という枠内では)景気変動に影響を受けづらいパワー半導体のメーカーであることから買いました。

6238 フリュー (+98,343)

買い玉を手仕舞い

ポートフォリオ

サマリー
  • 評価額合計 53,677,327円
  • 前日比 +769,433円 (+1.45%)
  • 月初比 +5,009,695円 (+10.29%)
  • 年初比 +5,009,695円 (+10.29%)
現物

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信用

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先物

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[投資本] バフェットからの手紙

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バークシャー・ハサウェイが株主に向けて毎年発行している年次報告書の内容をテーマごとに編集した本。

株式投資の参考にと思って読みましたが、その意味ではやや肩すかしでした。投資家としてというよりは経営者としての立場で書かれており、企業グループのマネジメントやコーポレートガバナンスについて書かれた箇所が大半で、投資手法についてはごく僅かな文量しかありません。株主に向けて書かれた文章なので、バークシャーの状況や経営上の意思決定について説明することが主眼になっているんですね。

バフェットの本はたくさん出ているので、投資にテーマを絞った本もおそらくあると思います(駄犬はバフェット本を読んだのは初めてで、他はよくわからないのですが)。投資のために読むならそちらのほうがよいでしょう。

全体的に硬い文体で、年次報告書から切り貼りして構成しているため話が飛び飛びになるし、読みやすいとは言いづらいです。しかし読者に十分な知識があれば豊かな知恵を取り出すことができる本だと思います。一番おもしろかったのは、バークシャーといえば長期投資のイメージがありますが、実際には裁定取引デリバティブもやっているということ。裁定取引には1節が割かれており、カカオ相場の歪みを利用したケース、原生林への政府保障を狙ったケースが挙げられています。

以下は投資哲学について書かれた箇所のメモです。

  • 私たちは、株式市場が来月、あるいは来年どのような動きを見せるかを予測しようとしたことは一度たりともありませんし、今もそのようなことをする気はありません。
  • マクロ的な見解をまとめたり、他人のマクロ経済やマーケットの予想に耳を傾けたりするのは時間の無駄です。実際、これは本当に重要な事実に対する見方を曇らせる可能性もある危険なことです。
  • 買おうとしている資産の将来の利益ではなく、価格変動に注目しているのならば、それは投機です。それも間違いではありません。ただ、私は自分が投機で成功できないことは分かっていますし、投機で成功し続けることが出来ると主張する人は信用できません。
  • 私たちが選ぶ企業の条件は、①その内容を私たちが理解し、②将来にわたり長期的に好ましい業績が見込め、③経営幹部は誠実で有能な人々であり、④魅力的な価格で購入できることです。
  • 2008年の終わりには「現金は王様」という言葉が聞かれました。まさにこのとき、現金は持っておくよりも投資すべき時期でした。同様に、1980年代の初めには「現金はゴミ」という言葉が聞かれました。このときは固定利付きの投資が記憶している限りでもっとも魅力的な水準にある時期でした。このようなとき、金利収入を必要とする投資家はリスク性資産への投資に夢中だったのです。

[今週のトレード] 2019/01/18 日本電産下方修正、ストップ高2つ

今週の資産推移は+5.8%(+296万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが+1.8%、マザーズ指数が+6.8%と指数に対してまちまちでした。

先週からリバウンド継続、特に小型新興は上げ幅が大きかったです。木曜引け後に日本電産が6年ぶりという下方修正を出したのですが、翌日は-8%くらいで寄ってから上げ続け、終値は-1.1%でした。誰が見ても非常に強い動きで、貿易戦争にしろリセッションにしろ、目先の業績悪化はもう織り込まれたんだと思えるものでした。駄犬も去年後半はシクリカルな銘柄をだいぶ減らしましたが、そろそろ買い直しても良いのかもしれません。

www.nikkei.com

ポートフォリオで上げたのはエヌリンクス(+26.7%)、コトブキヤ(+24.8%)、セプテーニ(+17.4%)、ドリームインキュベータ(+13.4%)。下げたのはUFHD(-4.4%)、多木化学(-3.7%)、月島機械(-1.9%)でした。コトブキヤが越境EC、ドリームインキュベータがkonmari? でストップ高を付け、大した材料じゃなくても反応する地合の良さに恩恵を受けました。

マザーズ指数が足元でだいぶ上げたのもあって、前からやってみようとマザーズ先物ヘッジを少しだけやってみました。2枚だけ売り建てしてさっそく含み損になっています。マザーズ先物は板が薄いし出来高もないし、これで何十枚もヘッジする人は怖くないんだろうか? しばらくはヘッジ入れながらやるつもりなので、値動き見ながら慣れていきたいものです。

今週の取引

6217 津田駒 (-)

新規に買い玉を立てて持ち越し。

木曜引け後に本決算の発表があり、今季予測と受注残の良さを見て買いました。去年10月にいちど売ったものを、ほぼ同額で買い直した形。

www.nikkei.com

ポートフォリオ

サマリー
  • 評価額合計 53,616,681円
  • 前日比 +318,483円 (+0.60%)
  • 月初比 +4,949,049円 (+10.17%)
  • 年初比 +4,949,049円 (+10.17%)
現物

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信用

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先物

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[投資本] 生涯投資家 (村上 世彰)

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村上ファンド村上氏の本。村上ファンドの活動について書かれた箇所が半分、コーポレートガバナンスについて持論を述べた箇所がもう半分という構成。

どの会社の誰に会ってどういう提案をしたというのが時系列で細かく書かれていて、アクティビストの活動を窺い知れるのがおもしろい点でした。ニッポン放送の件では、株を買い始める前の段階で、ニッポン放送、フジテレビ、産経新聞のキーマンの間をくるくると行脚して根気強く提案をしていたりします。人知れず市場で株を買い集め、突然現れて議決権を振りかざして乗り込んでいくみたいなイメージがあったのですが、少なくとも村上ファンドはそれとはだいぶ違ったようです。

コーポレートガバナンスについての箇所は、少なくとも株主視点では真っ当なことが書かれているように思うし、実際に近年の日本のマーケットはここに書かれているような方向に変わってきました。ただ、企業がため込んだ自己資本を株主に返す→資金の循環がよくなる→日本経済がよくなる、という主張はちょっと短絡的すぎるように感じられます。

投資方法

  • 期待値を重視して投資判断をする。多くのファンドはゼロになる可能性がある場合や負ける確率が5割を超える場合に投資をしないが、村上氏は期待値が1.0を大きく超えさえすれば投資をする。
  • IRR(内部収益率)も重視する。IRRが15%であることが基準。
  • 期待値とIRRに加えて相手の商習慣や国ごとに政治的リスクも踏まえて最終的な判断をする。
  • 投資家として大事なことは、失敗したと気が付いたときにいかに素早く思い切った損切りが出来るか。下がり始めたら売る決断をいかに速やかに出来るか。

[今週のトレード] 2019/01/11

今週の資産推移は+3.2%(+155万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが+4.0%、マザーズ指数が+7.6%と指数に対してアンダーパフォームでした。

昨年末の急落から一転してリバウンドの週。世界的に株高で、主要国の指数は軒並み上げました。小型新興も強かったですが、バイオとIPOが盛り上がって他のセクタはそれなりという相場で、駄犬のポートフォリオにはいまいち恩恵がなかったです。それにしてもあれだけ悲観的だったところからあっさり戻していくので拍子抜けという感じ。

ポートフォリオで上げたのはエヌリンクス(+31.1%)、月島機械(+9.3%)、ドリームインキュベータ(+9.0%)、シンポ(+8.4%)、パソナ(+7.0%)。下げたのは多木化学(-7.8%)、ゲオ(-4.9%)、三精テクノロジーズ(-2.8%)、マツオカ(-2.2%)でした。

今週の取引

2681 ゲオ (-376,428)

買い玉を手仕舞い

直近の値動きが悪いこと、Twitterでフォローしてる上手い人がショートしてたことから売りました。

ポートフォリオ

サマリー
  • 評価額合計 50,658,913円
  • 前日比 +868,012円 (+1.74%)
  • 月初比 +1,991,281円 (+4.09%)
  • 年初比 +1,991,281円 (+4.09%)
現物

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信用

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先物

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[投資本] 一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学 (cis)

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言わずと知れたcisさんの本。株の本というよりは自叙伝という感じで、主に自身の半生や価値観について書かれています。トレード手法については言及されているものの抽象的な内容ですし、この本を読んだところで真似できるようなものでもありません。株で勝つために読むと肩すかしでしょうけど、相場をやる人はおもしろく読める本だと思います。cisさんの考え方の移り変わりは興味深いですし、ジェイコム事件など有名な出来事についても書かれています。

最後まで読んで感じたのは、短期トレードで勝てるのはこういう人なんだ、自分はこういうふうにはなれない、ということ。値動きから豊かな情報を取り出して、ごく短い時間で判断して注文を出す能力というのは個人の資質によるところが大きく、同じツールを使って同じチャートや板を見たとしても、ぼくとcisさんでは見えるものがまったく違うだろうし、それは言語化しづらいものなのでしょう。ぼくが今から将棋を始めてもプロ棋士にはなれない。それと似たようなところがあるのだと思います。

あとは、よく勉強していて豊富な知識があるということで、相場の動きに対してアイディアが出てくるのは知識によるところも大きいんだなということ。勉強するのは凡人でもできるので、こちらは自分も頑張ろうという気持ちになりました。

cisさんの相場歴

  • 元手300万で株を始めた
  • ファンダメンタルズ重視で割安な株を買っていたら、最初の2年半で104万まで減らした。結局1000万くらい負けた
  • 株価が割安というのは主観にすぎず、公開された情報の分析では優位性がないと気づいた
  • 2chのオフ会での交流がスタイルを変えるきっかけになった
  • 値動きを見て勉強し、小型株の短期トレードに切り替えて勝てるようになった
  • 総資産が6000万のときにサラリーマンを辞めて専業になった
  • そこからはだいたい勝ち続けて現在に至る

トレードについて

  • 基本は順張り。「上がり続けるものは上がり、下がり続けるものは下がる」
  • 株が上がったり下がったりするのには理由がある。その理由はわからなくても株価の動きは明確な事実。マーケットの潮目に沿って行動するのがいちばん勝つ可能性が高い。
  • 株価の動きに勝手な予想をしない。どこまで上がるか(下がるか)は誰にも分からない。
  • 株価がある程度下がったら売る。2度目の押し目で売ることが多い
  • 押し目買いをやらない
  • ナンピンは最悪。失敗しているのにロットを増やすのは矛盾している
  • 損切りのラインは決めず、一時間後に今より下がっていると思ったら売る
  • リスクヘッジはしない。リターンを求めてリスクを取っているのに、そのリスクを分散させるためにコストを使うのではリターンを薄めるだけ。
  • 長期投資はやらない