駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

駄犬の株ログ

「株価は、恒久的に高い高原のようなものに到達した」(アーヴィング=フィッシャー, 1929年)

[今週のトレード] 2020/1/24 新型コロナウイルス

今週の資産推移は+0.9%(+86万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが-0.3%、マザーズ指数が-1.7%と指数に対してアウトパフォームでした。

中国武漢新型コロナウイルスが流行し日本でも感染者があらわれ、日本の株式市場も右往左往。旅行やインバウンドのセクタが売られて、恩恵がある(とされている)銘柄がもてはやされています。アゼアスや川本産業はあっという間に2倍になりました。今のところ死者数も26名にとどまり、感染力や致死率もインフルエンザとそう変わらないと言われていて、時間が経てば落ち着きそうに思えますが、旧正月+潜伏期間が経過しないとまだわからないというところ。

ja.wikipedia.org

今週の取引

5612 日本鋳鉄管 (+1,417,958)

買い玉を手仕舞い

来週の決算をまたぐつもりでしたが金曜日にこの記事をきっかけに(?)10%くらい上げたところで手仕舞い。2Qまでの進捗が良く3Q決算発表で通期の上方修正が出てくると思われますが、2Qの決算発表から1.5倍ほどになっておりもう十分に織り込まれていそうですし、信用買い残が半月で5万株ほど増えており決算期待のポジションが積み上がっているのが窺えてもう上値がないように思い売りました。

www3.nhk.or.jp

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3666 テクノスジャパン (-)

新規に買い玉を建てて持ち越し。

最近自分の周りでSAPコンサルが足りない、単価も上がっているという話を聞くようになり、「ほほうバブルですか! いいですなあ!」と思い、恩恵のありそうな銘柄をそろそろポートフォリオに入れようと考えてここを買いました。SAPの2025年問題は前々から認識はしていて、時期が来たらポジションを取ろうと考えていました。

SAP関連のサービスを提供する会社は多数上場していますが、自社のサービスのラインナップに入っているというだけで売上に占める割合はごく僅かというところが多いです。SAPの専業に近く、売上の大きな割合をSAP関連で上げている会社は自分の理解ではテクノスジャパン、ノムラシステム、アイ・ピー・エスの3社です。

SAPは「SAP認定コンサルタント制度」というのをやっていて、試験に通ると認定コンサルタントを名乗ることができます。ITベンダがよくやる公式資格です。企業ごとの認定コンサルタント在籍者数がWebサイトで公開されており、企業規模に対して在籍者数が多いのはアビーム3174名(社員数5915名)、YE DIGITAL161名(同509名)、ノムラシステム118名(同100名)、テクノスジャパン100名(同263名)あたり。アイ・ピー・エスは38名(同115名)ですね。SAP認定コンサルタントはそこまで難易度が高いわけではなく、入社2~3年目の若手が取るような資格ですが、取得費用も高く畑違いの仕事をしている人が片手間に取るものではないので、会社がどれくらいSAPに注力しているかを図る指標としては有用と考えます。

www.sap.com

それでここまで挙がった会社を見てみたのですが、テクノスジャパンは他に比べて拡大志向が強く、中小のシステム会社をたびたび買収して規模拡大していること、プロジェクトを炎上させて今期の業績が悪く株価も低迷していることから面白いと考えました。ノムラシステムは新卒採用がメインで採用人数も小さい(2016年 5人、2017年 7人、2018年 5人。マイナビより)のが気になり、アイ・ピー・エスは保守運用が主力なのが気になりました。YE DIGITALはここ1年で株価が2倍くらいになっていてバリュエーションがちょっと高いと思って外しましたが、1年前ならこちらを買っていた気がします。安川電機の子会社なんでERPをやっているイメージがなくて、今回調べてSAPに力入れていることを知りました。

懸念されるのは炎上プロジェクトの影響が来期に及ぶことですが、決算説明会の書き起こしに「業績に影響を与える損失は出し切った」とあり、いったんこれを信じています。受託のシステム会社が個別のプロジェクトを炎上させて業績が落ちるのは基本的に一過性のもので、小型株は足下の業績に株価が大きく影響されるので、長めにポジションを持てるならチャンスになることが多いと思っています。

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去年12月にアックというシステム会社の買収を発表しています。2億弱ののれんが積まれますが利益に与える影響はおおむねニュートラル(償却期間にもよりますが)と思われます。売上はそのまま上乗せになります。

SAPの2025年問題は2025年の手前までは需要が続くと思われ、今後IT業界の景況感が悪化したとしてもその影響を受けづらいはずで、その点では保有しやすいです。ただ今はIT業界全体が好況で、SAP関連の仕事ができるからといって特別に需要が強いというわけではないだろうし、SAP関連の人員の単価が上がったり、受注金額の相場が上がる影響がどこまで業績に出てくるかはまだちょっとわからないところがあります。

ポートフォリオ

サマリー
  • 評価額合計 99,845,691円
  • 前日比 -1,189,149円 (-1.18%)
  • 月初比 +10,308,501円 (+11.51%)
  • 年初比 +10,308,501円 (+11.51%)
現物

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信用

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先物

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[投資本] 貸株市場入門 (植月貢)

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証券会社や機関投資家が貸株を融通する相対取引の市場について書かれた本。金融業界の実務担当者向けに書かれており、バックオフィスで使われる帳票のサンプルが載っていたりします。

1999年発行と古いのですが、基礎的な知識を得るには有用な本です。個人投資家信用取引建玉を建てたり貸株サービスで現物株を貸し出したときに、証券会社の裏側でなにが起きているのかは見えづらい部分ですが、おぼろげにでもイメージができるようになります。反面、発行から20年も経つとシステム化も進んだだろうし、今では本書の内容と食い違っている部分も多いだろうとも思います。貸株の市場規模も当時よりもかなり大きくなっているでしょう。ネット証券がこぞって貸株サービスを提供するようになり、貸株は以前より身近になりましたし、ぜひ改訂版を出してほしい。

著者は短資会社の所属で、おそらくブローカーとして貸株市場に参加しているものと思われます。そのため貸株の借り手と貸し手がどのような意図で取引を行うのかという点は記述が乏しいです。特に貸株を借りる側の機関投資家がどういう株を借りて、どうやって(空売りに)使うのかは本書を読んでもわかりません。

貸株市場
  • 証券会社や機関投資家が参加する相対取引の市場
  • 日本株の貸株市場の規模はおよそ10兆円。内訳はエクイティ・レポが8兆円、ストック・レンディングが2兆円
  • ブローカーを通すことが多い。機関投資家が相手と直接取引をするとポジションが相手にわかってしまうため
貸株取引
  • エクイティ・レポ(ジェネラル取引)とストック・レンディング(スペシャル取引)
    • エクイティ・レポ:銘柄を特定しない取引。「一部上場の銘柄で一定基準を満たすものを100億円」のように大まかな条件で取引する。貸借料率は小さく0.01%が相場
    • ストック・レンディング:特定の銘柄を貸借する取引。貸借料率は銘柄のニーズ次第
  • コーラブル取引とノンコール取引
    • コーラブル取引:貸借期間中、いつでも借入者が借りていた株を返還できる権利がついた取引
    • ノンコール取引:貸借期間が終わるまで返還できない取引
  • ターム取引とオープンエンド取引
    • ターム取引:契約締結時に取引決済日(エンド日)を定め、中途解約はできない取引
    • オープンエンド取引:契約締結時に取引決済日(エンド日)を定めず、貸出者・借入者のいずれかが貸借期間中に指定する日をエンド日とする取引
  • 借入者は株券を借りるときに担保(現金)を差し入れる。担保には担保金利(TIBOR+α)が付く
証券金融会社
  • 資金調達
  • 株券調達
    • 証券会社が担保に差し入れている株券を使う(食い合い)
    • 食い合いで貸株超過となる場合、借株返済の追加申し込みで解消を図る
    • それでも貸株超過が解消されない場合は入札方式による品貸しの申し込みを募る。午前10時まで入札を受け付け、参加者が逆日歩を付けて入札する。落札された品貸しのうちもっとも高い逆日歩が当該銘柄の逆日歩となる
    • 入札によっても貸株超過が解消されない場合、特別品貸料率を採用してさらに午前10時半まで入札を受け付ける
    • それでも解消されない場合は機関投資家、金融法人、事業法人等と直接交渉する
証券会社と逆日歩
  • 証券会社の店内で制度信用が買い長になっていても、証券会社は超過した全量を証券金融会社に付出するわけではない(自己融資)
  • その状態で逆日歩が付くと、自己融資している株の逆日歩は証券会社の持ち出しになる
  • そのため証券会社は店内で買い長になっている銘柄に逆日歩が付きそうになると、(店内の状況から可能であれば)証券金融会社に貸株の返済を申し込むか、逆日歩の入札にゼロ銭で応札して、逆日歩が付かないようにしようと試みる
  • その結果、貸株返済で一致すれば満額となり、入札で不足した株数の全量をゼロ銭でカバーできれば逆日歩ゼロ銭となる

[投資本] 適時開示実務入門 (鈴木広樹)

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上場企業の開示担当者向けに書かれた適時開示の解説書。JPXが『会社情報適時開示ガイドブック』を出していますが大変な分量でなかなか読み通せない代物らしく、担当者が実務の概要を簡潔につかめるよう書かれた本です。

もちろんぼく自身が適時開示の実務をやるわけではありませんが、投資家として日々TDnetにアクセスし適時開示に目を通しており、その裏側を知りたいと思って読みました。細かなレギュレーションを説明していくページも多く、投資家の目線で読むときは飛ばしながら興味のあるところを拾っていく読み方になると思います。

個人的に収穫だったのは、上場企業におけるさまざまな決定事実や発生事実について、開示が義務づけられていることと開示するかどうか各社の裁量に委ねられていること、その線引きの基準が表になって載っているんですね。ぼくは今まで業績予想の修正や配当予想の修正を、それぞれの企業が独自に判断して出したり出さなかったりしているんだろうと何となく思っていました。しかし実は基準があって、修正幅が一定の基準を超える場合は必ず開示しなくてはいけないのだ! 月次を出している企業だと、売上の数字だけはそれなりの確度で推測ができるので、そこから「前期比でプラス○パーセントくらいの売上がありそうだから、上方修正が出そうだ」と考えていくことができるんじゃないかなあ(要検証)。逆に資本提携は必ず開示するものだと思っていましたが、取得価額が基準を上回らなければ開示しなくてもかまわないんですね。こういうのも日本株をやる上ではルールの一環といえるし、個人投資家は適時開示のレギュレーションなんて気にしない人が多いだろうから、ひょっとしたら自分の優位性に繋がることもあるのかもしれません。

適時開示の実務者向けのノウハウとしては、インサイダー取引の防止と、迅速な開示を遂行するための仕事の段取りの箇所がおもしろかったです。前者はどんな重大な機密であっても開示してしまえばそれ以降はインサイダー情報にならないので、できるだけ早いタイミングで開示しましょう、それまでの間は情報保持者の数をできるだけ小さくしましょうみたいな話。後者は取締役会等で機関決定したら即座に開示できるように、事前に取締役会の議案を確認しましょう、想定される決議の内容に沿って資料も準備しておきましょう、みたいな話です。TDnetの開示内容を作っている人たちのことにイメージがわく気がします。

以下、開示の基準で自分が押さえておこうと思った箇所のメモです。

業務提携
  • 翌3期間のいずれかにおける売上高の増加見込額が前期の売上高の10%以上
資本提携
  • 株式を取得する場合、取得価額が前期末における純資産額と資本金の額の小さい方の10%以上
  • 株式を取得される場合、取得される株式数が前期末における発行済株式総数の5%超
新製品または新技術の企業化
  • 翌3期間のいずれかにおける売上高の増加見込額が前期の売上高の10%以上
  • 特別に支出する見込額が前期末における固定資産の帳簿価格の10%以上
子会社取得
  • 新子会社の資本金の額が資本金の10%以上
  • 前期における新子会社との仕入または売上取引高が総仕入または総売上高の10%以上
  • 新子会社の前期の期末における総資産の帳簿価額が前期末における純資産額の30%以上
  • 新子会社の前期の売上高が前期の売上高の10%以上
  • 新子会社の前期の経常利益が前期の経常利益の30%以上
  • 新子会社の前期の当期純利益が前期の当期純利益の30%以上
  • 新子会社取得の対価の額が前期末における純資産額の15%以上
業績予想の修正
  • 業績予想を開示している場合、前回予想値と、今回予想値又は当期実績値とを比較して、増減が

    • 売上高 10%以上
    • 営業利益 30%以上
    • 経常利益 30%以上
    • 当期純利益 30%以上
  • 業績予想を開示していない場合、前期実績値と、今回予想値又は当期実績値とを比較して、増減が

    • 売上高 10%以上
    • 営業利益 30%以上
    • 経常利益 30%以上
    • 当期純利益 30%以上

[今週のトレード] 2020/1/17

今週の資産推移は+3.9%(+371万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが+0.0%、マザーズ指数が-0.6%と指数に対してアウトパフォームでした。

特に大きな出来事もなく、小動きの1週間でした。2月決算企業のプチ決算シーズンが終わって、決算ギャンブルの建玉ポートフォリオから落としたり、よい決算を出したやつを入れたりしていました。

今週は指数を4%くらいアウトパフォームしていますが、UFHD+23.3%、フィードフォース+17.2%、ガイアックス+13.1%、NCS&A+12.0%あたりが寄与しました。ポートフォリオでもっとも下げたのはフロンティアインターナショナルの-9.4%でした。

今週の取引

6094 フリークアウト (-603,754)

買い玉を手仕舞い

GoogleChromeの3rd party cookieサポートを廃止するというニュースが今週ありました。いわゆるアドテクをやっている企業、とくにパブリックDMPには大きな影響があるはずです。フリークアウトは事業に占めるアドテク(DSP)の割合が高く、子会社のインティメート・マージャーはパブリックDMPの専業です。足下の時価総額220億が高いとは思わないけど、大きな不確定要素がある中で保有するほどの銘柄でもなくて、いったん売却しました。

jp.techcrunch.com

少し前に総務省cookie規制をやるというニュースがあって、そのときにも手じまうか考えたんですが、ここは海外事業の割合が大きく、今期は半分以上の売り上げを海外で立てる計画で、国内の規制を理由に売ることはないだろうと考えました。しかしChromeの仕様変更となると海外事業への影響も出てくると思います。

ネット広告は市場全体としては成長し続けてきましたが、その内訳は変わり続けてきました。最初期はバナー広告みたいな純広告から始まって、リスティング広告が出てきて、ここ10年くらいRTBによるターゲティング広告が伸びてきました。またここで一つ変化が起きるのかも。ポートフォリオだと他にセプテーニとCARTA、あとはフィードフォースがネット広告の会社ですが、この3つはアドテクの割合がそこまで大きいわけではなく、保有を続けるつもりです。CARTAはVOYAGE時代はほぼアドテクでしたがCCIと合併して業容が変わりました。

4295 フェイス (-1,565,175)

買い玉を手仕舞い

1/10の開示によると自社株買いの枠を3.9億まで使っており、残りの1億は今月中に使い切りそうということで手じまい。自社株買いをスタートしてからはハイペース(時価総額約100億&浮動株13.9%に対して、11月は1.5億、12月は1.2億)で買っていましたが、機関投資家がそれ以上の株数をぶつけて売っていたので、株価への寄与は結果としてはなかったです。自社株買いを手がかりにしたポジション難しい……。損益の金額は去年からの通算です(フリークアウトも)。

4931 新日本製薬 (-)

新規に買い玉を建てて持ち越し。

40代以上の中高年女性を主な顧客とし、基礎化粧品を通信販売で売る会社。製造は100%外部委託、コールセンターもアウトソースしており自社でやってるのはおそらく企画とマーケティング、あとはバックオフィス業務くらい。2019年6月の上場から監視リストに入れていて、ほどほどに調整して1Q決算を間近にしたタイミングでようやく買いました。

成長ストーリーは化粧品市場の拡大によるオーガニックな成長と、あとは海外展開でしょうか。海外の売上は1.8%と小さいですが、年ごとにざっくり2億→4億→6億と伸びてはいます。『パーフェクトワン』が主力商品で、@cosmeamazonのレビューをざっと見ましたが商品の善し悪しについては正直よくわからず。

netshop.impress.co.jp

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有価証券報告書を見るかぎりでは、ここはおそらく1Qと3Q偏重なんですね(あまり強い根拠ではない)。比較的高単価で日持ちの利く商品なので時期的に消費増税の影響が懸念されますが、定期購入(年6回程度)を提供しており、定期購入だと10%オフとかになるし、直近四半期の売上が上振れしていることもないので、消費増税で需要を先食いした影響もそこまでじゃない(ただし定期購入の割合が開示されておらずこれも推測混じり)と思われます。なので1Q決算は高めの進捗率が出てくると思っていて、半分くらい決算ギャンブルを兼ねて買っています。

化粧品はバリュエーションの高いセクタで、資生堂はPER38.9、コーセーはPER26.9、ポーラ・オルビスはPER31.9です。ここと同じく通販主体のファンケルもPER36.8あります。あとは化粧品セクタの中でここに近いのが『ドクターシーラボ』のシーズホールディングスだと思うんですが、シーズホールディングスは2018年にJ&Jに2300億で買収されました。シーズホールディングスの買収時点(FY2018)の数字が売上509億、経常88億で、新日本製薬のFY2019が売上336億、経常28億です。他社ほど評価されない理由もいくつか思いつきますがそれらをさっ引いても足下の時価総額305億、PER15.2は安いように思われます。

www.bloomberg.co.jp

3791 IGポート (-)

新規に買い玉を建てて持ち越し。

ここは去年10月発表の1Q決算がよかったのですが、四半期単位だと数字がブレる会社なのであまり深く調べず決算短信をざっと見たくらいでスルーしていて、そうしたら2Q決算も引き続きよかったのでちゃんと資料を見て、買えそうだと思って買いました。

版権セグメントは期初の見込みでは3億ほどの減収で売上11.4億。それが2Q時点で売上6.9億(前期比-3.5%)と推移しています。ヴィンランドサガが好調なのではないかと思いますが内訳は開示されておらず詳細はわからず。2Qの数字を見る限りは会社予想よりも順調に推移しているのではと思われます。

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また、版権セグメントは前期比で1.9億ほどの営業増益となっていますが、これは減価償却費の負担が1.7億減ったのが寄与しています。このへんの会計処理よくわかってないですが製作コスト(?)を資産計上して減価償却していくんですね。B/Sの「コンテンツ資産」がそれでしょうか。

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映像制作セグメントは期初の見込みでは通期で0.7億の営業利益で、2Q時点ですでに1.7億の営業利益をあげており通期の予想を超過する形になっています。これが合理化などの効果があって予想を上振れしているのか、下期に採算の悪い案件が控えているのかがわからず。

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ジーベックという制作子会社を2019年に売却しており、おそらく赤字会社だったのと、「事業譲渡により発生する退職金、一部技術部門の移転費用、関連する映像制作スケジュールの変更」が2019年に計上されたと思われるので前期比の利益の改善にはその影響があるとは思います。

作品ごとの収支って見る人が見たらわかったりするんでしょうか。3Q決算発表まで間があるのでもうちょっと調べてみたいのと、3Q決算に期待が乗るようならちょっと手じまい考えるかもしれませんが少なくともそこまでは保有するつもり。

ポートフォリオ

サマリー
  • 評価額合計 98,981,422円
  • 前日比 +1,121,873円 (+1.15%)
  • 月初比 +9,444,232円 (+10.55%)
  • 年初比 +9,444,232円 (+10.55%)
現物

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信用

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先物

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[今週のトレード] 2020/1/10 資産9000万、スレイマニ暗殺

今週の資産推移は+6.4%(+573万)でした。同期間のマーケットはTOPIXが+0.8%、マザーズ指数が-0.8%と指数に対してアウトパフォームでした。

正月休みの1/3にアメリカがイランのスレイマニを暗殺してCMEの先物が下落。不穏な情勢の中で始まった大発会日経平均-451.76円となり、その後も情勢の変化に振り回されて乱高下する大変な年明けになりました。日経平均は一時23000円を割りましたが、事態が急速に収束したことで今週末23,850.57円とむしろ昨年末よりもプラスで引けています。

  • 1/6(月) 大発会。この日はまだ悲観論が強く、イランの報復は必至で戦争になるという論調が強かったものの「遠くの戦争は買い」というフレーズも聞かれました。全面安で防衛関連(とされている)銘柄だけがそろってS高をつける展開
  • 1/7(火) ニュースで伝わる情勢はさほど変化なかったもののなぜかリバウンド。イランではスレイマニの葬儀をやってました
  • 1/8(水) 日本時間の朝にイランが報復のミサイル攻撃を実施。ザラバではTwitterで暗闇の中ミサイルが飛んでいく動画が拡散され、アメリカ軍に死者が出たとかゼロだったとかいう情報が流れ(結果的には死者ゼロだった)、ついでに飛行機も墜落(あとでイランに撃墜されたことが判明)。体感ではこの日が最大のきつさで、マザーズ指数は一時-4%弱まで下げました。正午ごろからイランの外相がここらで手打ちしようみたいなコメントを出すなどして楽観的な雰囲気が出てきて、後場は戻しました
  • 1/9(木) 未明にトランプが融和的な演説をし、完全に収束のムードに。シクリカルなセクタが買われて半導体がとりわけ強く、小型新興もバブル復活で防衛関連だけ暴落という巻き戻しの相場に。
  • 1/10(金) 前日の流れを引き継いで堅調。この日はもうイラン情勢の話題をタイムラインでほとんど見かけず、消化されてしまったような扱いになってました

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自分はというとイラン情勢を理由になにかすることはなく、ポジションはそのまま維持しています。戦争になるかはわからなかったですが戦争になっても相場が下げると決まったわけではないし、マーケットの変調というわけではないのでなんとかなるだろうくらいの考えでした。

今週は指数を6%くらいアウトパフォームしていますが、これはフィードフォースが+28.4%(2Q決算&アナグラム買収発表)、日本鋳鉄管が+27.9%、富士山マガジンが+24.7%、ドーンが+23.2%(2Q決算&上方修正、売却済み)とポートフォリオで強い銘柄が多かったため。小型新興は循環物色が活発でとくに理由もなくS高をつける銘柄が簡単に出てくる地合いで、昨年末からのバブリーな相場が続いています。

今週の取引

2303 ドーン (+1,443,034)

買い玉を手仕舞い

木曜日に2Q決算と上方修正を発表。悪い内容ではなかったのですが上方修正の上げ幅が自分の期待より小さく(経常利益で+15%)、直前に決算期待で買われて上げていたこともあって、翌日に+15%くらいになったところでこんなに上げる決算じゃないだろうと思って手仕舞い。しかしその後S高に張り付いて+23%で引けました。マジかよ。そのうち調整したら買い直そうくらいの気持ちだったんですが、まさかこのまま上げ続けるんじゃなかろうな。

6334 明治機械 (-)

新規に買い玉を建てて持ち越し。

昨年9月にkabutan煽りがきたときに手仕舞ったのを12月から買い直して自分のポジションサイズになりました。74億の大型プラントの受注が来季から業績に乗ってくること、土地の売却益2.5億が来季特別利益として計上されること、進行中のプラント建設も順調らしいこと(短信の記載より)ことからまあ目先は保有できるはず。2.5億の特別利益は四季報予測に加味されていない(金額もそうだし、12/9開示なので時期的にも間に合っていない)のでそのギャップもあります。あとkabutan煽りでは「環境事業注力により新ステージ突入」とありますが環境事業がうまく行ったとしても業績への寄与は限定的と思われ、ここは本業のプラントや飼料設備が低迷から回復しつつあるのが期待できるポイントです、

ポートフォリオ

サマリー
  • 評価額合計 95,267,534円
  • 前日比 +2,341,542円 (+2.52%)
  • 月初比 +5,730,344円 (+6.40%)
  • 年初比 +5,730,344円 (+6.40%)
現物

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信用

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先物

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[投資本] 新訳 バブルの歴史 (エドワード・チャンセラー)

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過去に発生したバブルを取り上げて紹介した本。主として以下の事例が扱われています。

『狂気とバブル』に比べるとより分析的で、当時の経済状況や政治の動きについても述べられており、起こったことが俯瞰的にわかるように書かれています。ただ、各々の事例を紹介することに主眼が置かれており、そこから一般的な傾向や法則を取り出そうという記述は乏しいです(最初の方にちょっとあるくらい)。事実を淡々と叙述するスタイルで、経済史の教科書を読んでいるような感じ。

本書の内容からバブルの共通点を取り出すとこんな感じでしょうか。2017年から2018年にかけての仮想通貨はまさしくバブルのテンプレートをなぞっていたと本書を読んで思いました。

投機の対象が相場の成熟に伴い拡大する
  • チューリップバブルでは当初「センペル・アウグストゥス」などごく限られた品種が投機の対象であったが、徐々に無銘の球根まで高値で取引されるようになった
  • 南海泡沫事件では事業の実態のない会社までが設立され投機の対象となった
  • 仮想通貨バブルの末期にはaltcoinが物色されて、株クラにも得体のしれないコインやトークンを買い漁るひとがたくさんいた
イノベーションやフロンティアの魅力が喧伝される
  • ミシシッピ会社や南海会社では新大陸との貿易による利潤が謳われた
  • 1820年代のイギリスでは南米大陸の鉱山ブームがあり、ある会社の設立趣意書には「会社が採掘権を持つ地域には金が豊富にあり泥から洗い流すだけで金が採掘できる」と書かれた(が、実態はなかった)
  • イギリスの鉄道ブームではメディアが鉄道の未来を煽り、「鉄道時代の到来は人類の進歩の速度を永遠に変えるだろう」などと言われた
信用で取引できるようになる
  • 南海会社では、ブームの途中から、20%の申込金を払えば株を購入できるようになった。残金は16ヶ月かけて分割払いで払えばよかった
  • イギリスの鉄道ブームでは「スクリップ」という仕組みがあり、鉄道会社の株を買うものは最初に10%だけ支払い、残りは鉄道建設が始まってから支払えばよかった。鉄道株を担保に金を貸す銀行もあった
  • 仮想通貨バブルでも最初は現物取引しかなかったが、直に業者がレバレッジ取引を提供するようになった

それにしても時と場所が変わってもバブルの参加者がやっていることは変わらないし、相場の歴史を学ぶことには価値があると思わされます。後世の投資家にとってビットコインはかつてのチューリップと同じようなものに見えるのか、それとも金やプラチナみたいな地歩を築いているんでしょうか。

市場に集まる人々や彼らのやり方は昔も今も変わらない。使う言葉とテクノロジーが新しくなっただけである。

エドワード・チャンセラー. 新訳 バブルの歴史 ──最後に来た者は悪魔の餌食 (Kindle の位置No.4982-4983). パンローリング株式会社. Kindle 版.

[投資本] 狂気とバブル (チャールズ・マッケイ)

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人間の愚行、とくに集団心理の引き起こした事例についての挿話集。原著が発行されたのは1852年で、長く読みつがれてきた本です。

中世ヨーロッパで起きた出来事をテーマに沿って蒐集し、ややゴシップ的に味付けしてジャンルごとにまとめたという感じ。バブルについて述べたページは全体の15%ほどに過ぎず、中心的な人物を据えてその周辺で起こったことを面白おかしく著述するというスタイルで、分析的な記述には乏しいです。

たとえばミシシッピ計画であればジョン・ローを中心人物に、彼の生い立ちから始まって殺人を犯してヨーロッパ大陸に逃亡したくだりを述べ、フランスで摂政の知遇を得て銀行を設立し、ルイジアナ州の独占貿易権を獲得して、云々。そうしてようやくバブルが始まったなと思ったら、民衆がいかにしてジョン・ローに取り入ろうとしたかという話が延々と続いて(発行される株をだれに割り当てるかという権限をジョン・ローが持っていたらしい。今でいうIPOの割当みたいなもの?)、気づいたら南海泡沫事件の章が始まっている。

というわけで本としては面白いんですが、過去に発生したバブルについて知見を得て投資に活かそうという目的で読むなら、明らかに『新訳 バブルの歴史』を読んだほうがよいでしょう。本書ではミシシッピ計画、南海泡沫事件、チューリップバブルの3つの事例を取り上げていますが、これらは『バブルの歴史』でも扱われています。

本書でいちばん面白かったのは錬金術師の章でした。中世の錬金術師というと現代で言うところの化学者で、金を錬成しようと学究に身を捧げた人たちというイメージがありましたが、まあたしかにそういう人たちもいたけれど、時代を下ると詐欺師だらけになってきて、二重底のツボやら中が空洞になった杖を使って王侯貴族をだまくらかして金品をせしめるんだけど、たまにバレて投獄されたり死刑判決を受けたりします。他にも中世にあらわれた預言者、祈祷師、磁気療法士といった怪しい人たちについてたくさん書いてあって、そういうのがお好きな人にはおすすめです。